押されても感覚がない肩こりが鍼治療で治った例
肩の凝り過ぎで感覚異常が起きる
「皮膚に触れている感覚はありますが、押された感じがしないです…」
問診を終えて、肩の凝りの一番硬いところを押したときの患者さんの返答です。少し強めに押しても、同じ答えが返ってきます。
実は、肩が凝りすぎて押された感覚がなくなってしまったのです。筋肉が凝りすぎると、痛みや辛さを引き起こしますが、その状態が長期間続くと感覚が鈍くなる事があります。今回は、この話のように強い肩コリで起きた感覚異常が消えた症例を紹介します。
症例19(40代の女性)
40代女性の患者さん。主婦のかたわら、兼業で大学講師をしています。パソコンをよく使うためか常に肩こりを感じていて、2ヶ月前から左の首、肩、肩甲骨の外縁に重だるさを感じるようになりました。同じ時期から左上腕のピリピリするしびれがあり、左手の人差し指、中指、薬指にもしびれが出現しました。
加えて、月経前になると、常にある肩こりが強くなり、ズキズキする頭痛やフワフワするめまいも起きていたことから、不安に思い、整形外科を受診されたようです。レントゲンを撮ったところ、原因不明と診断されてしまいました。
ポイントは子宮環境の改善
今回の症例は、月経周期と肩こりの関係性にあります。1ヶ月に一度訪れる月経の時期に合わせて症状が酷くなることから、子宮環境を改善する事で症状が和らぐのではないかと考えました。
子宮付近(下腹部)のツボを確認してみると、肩こりと同じ左側に硬さがありました。子宮の血流を促す足首のツボを使うと、下腹部が緩み、同時に肩も緩みました。緩んだ肩を押して感覚を確認すると「あ、痛い…」と鈍化していた感覚が回復していたのです。
感覚が回復すると、関節の動きに応じて症状がどのように変化するのか確認できるようになります。動作を確認をすると、上を向いた時に嫌な感じがでるようでした。頚の動きを改善させるために肩甲骨の内縁のツボに鍼をしたところ、可動域が増えて嫌な感じが軽減しました。肩甲骨外縁に「重だるさ」が残ったので、腰のツボに鍼をしたところスッキリしたと感想を頂くことができました。こうして初回の施術が終わりました。
継続の必要性
その後、1週間に1度のペースで同様の治療を行ったところ、3回目にはさらに改善していました。指の痺れ(しびれ)が消え、月経が訪れてもズキズキする頭痛やフワフワするめまいが起きなかったのです。
5回目には左上腕のビリビリとした痺れも消えました。
治療ストーリーを描く
この症例では、月経周期に合わせて頭痛、めまい、肩こりが起きていたことから、子宮環境が症状を悪化させていたと考える事ができました。婦人科を考慮したことで、肩こりの他、頭痛、めまい、しびれが短期間で改善しました。
症状がいくつかあったとしても、原因が同じであれば同時に対応することができます。大切なのは、症状をしっかり分析することです。合理的で効率のよい治療ができるため患者さんの負担は少なく短期間で改善できるようになります。
<院長:秋澤>
はりきゅうルーム カポス 院長(鍼灸師)
整体師(活法)歴は10年以上あるが、鍼灸師としても一流になるためにカポスに入社。二刀流(整体・鍼灸)に憧れている。臨床で人体のしくみを解き明かす日々に喜びを感じています。
日ハムと名古屋グランパスを応援している二児の父。
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