品川に頭痛専門の鍼灸院を作った理由
オーナーの栗原です。
はりきゅうルーム・カポスは「頭痛・肩こり・花粉症」を専門とする鍼灸院です。今回は、この3つの分野を専門にした理由のうち、頭痛についてお話しします。
群発頭痛と私
スキーの帰り道
最初にお伝えしたいのは、私自身が群発頭痛であったということです。あの激痛に初めて襲われたのは、確か18歳の頃です。大学の先輩二人と一緒にスキーに行った帰り道、クルマの中で突然激しい痛みに襲われました。その痛みは常識的ではなく、石で頭を殴られたような痛みでした。痛みの強さから、とても大きな不安に襲われました。「このまま死んでしまうかもしれない」と本気で思いました。
痛みを先輩二人に訴えて、一番近くの病院に夜間救急に。すぐに検査をしました。たぶんCTだったと思います(痛みが激しすぎてよく覚えていません)。結果は異常なし。痛みが残る中、鎮痛剤をもらって帰ってきました。その後、痛みはスーっと消えてしまい、翌日には完全復活していました。そして完全にそんな頭痛があったことを忘れて過ごしていたのです。
2回目の襲撃もスキーの帰り道。1回目の頭痛の数年後のことです。行きは天気が良かったのですが、帰り道に激しい雪となり、峠の雪道をドキドキしながら走っていました。その当時、雪道の運転には慣れていなかったからです。峠を下ってそろそろ終わり、というところで再びやってきました。眉毛の奧が突然痛み出したのです。喩えるなら、頭蓋骨がパリンと割れるのではないかという痛み、そして不安感。
その激しい痛みに耐えながら、峠を何とか下りきり、ドライブイン(当時はまだあった)に停車して、休むことにしました。とても走れる状態ではありませんでした。10分ほど休んでいると、痛みがスーと引いて違和感が残る程度まで回復しました。気になりつつも、そこで一晩過ごすわけには行きませんから帰宅しました。その後、その痛みはすっかり消え、その痛みを忘れて過ごしていました。
飛行機の着陸態勢
3回目の痛みは、国内線の飛行機の中でやってきました。飛行機が着陸の準備を始めるために、高度を下げ始めたあたりから、眉毛の奧が割れるように痛み出して来たのです。その痛みは、スキーの帰り道を思い出す、あの痛みにそっくりでした。これが出てしまうと「大丈夫?」と声をかけられても「大丈夫」と返事をすることが難しくなります。
飛行機はどんどん高度を下げていきます。それとは逆に私の頭痛は激しさを増して行きます。着陸直前でピークを迎え、滑走路をゆっくり走っているあたりから、頭痛は軽くなり、その後30分くらいかけてゆっくり消えていきました。
その後も、飛行機に乗るたびに同じ症状に襲われました。「今度こそ大丈夫」と思いつつ、毎度毎度裏切られながら、その痛みに耐えていたのです。そうこうしているうちに私は鍼灸師になりました。機内に鍼を持ち込み、着陸態勢が始まると同時に「合谷」というツボに鍼をすることにしました。当時の技術では、合谷というツボがベストチョイスでした。
このチョイスはそこそこ当たっていたようで、合谷に鍼をすると、頭痛が極めて軽く済むのです。群発頭痛の極めて軽い痛みというのは、しっかりハッキリと痛いレベルです。それでも、あの痛みに比べれば何でもありません。合谷が効くとわかってから、飛行機に乗る度に鍼を持ち込むようになりました。そうしているうちに頭痛が出なくなりました。
頻繁に飛行機に乗る生活ではありませんでしたが、その中で気がついたことがあります。国際線では無症状。行きも帰りも頭痛が全く出なかったのです。おそらくではありますが、1時間くらいの短い飛行の方が体が敏感に反応するのです。国内線では、飛行中の気圧に慣れる前に着陸体勢に入ります。これがいけません。短時間に2回も激しく変わる気圧に私の体は順応できなかったのでしょう。国際線では、飛行中の気圧になれる時間があるので、高度を下げる際に大丈夫だっただと分析しています。
鍼灸院と頭痛治療
鍼灸院でよく診る頭痛
群発頭痛は、一般的に「目の奧をえぐられるような痛み」と表現されることが多いです。慢性頭痛の中で最強レベルの痛みと言われています。私の場合、目の奧をえぐられるというより、眉毛あたりの骨が割れるように痛いと感じました。頭をプレスされて頭蓋骨が砕けるのではないか、という感じでした。ノーマルなパターンではないのかもしれませんが、痛みの激しさは、目を奧をえぐられるという表現に匹敵すると思います。
このような群発頭痛ですが、鍼灸で治療をする機会は少ないのです。なぜなら「何でもない時は何でもない」という病気だからです。何でもない時には、治療をしようという気になれず、痛みが出てしまうと、気分は鍼灸院ではなく救急車なんです。実際に、救急車を呼ぶ方も多いと思います
実際のところ、私が鍼灸院で診せて頂く症状は、緊張型頭痛や偏頭痛と言われている種類のものです。肩こりや首こりの治療をベースに、頭痛の治療を行います。肩や首のコリが頭痛を引き起こすからです。そんなふうに治療をしていると「群発頭痛がある」という方と出会うこともあります。「目の奧が痛む」という特徴から、そのメカニズムを探ってきました。
慢性頭痛の原因
ハッキリしたことは、頭痛のタイプによって肩こり・首こりのタイプも違うということです。
慢性頭痛と言われている、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛の原因として、言われているものはあいまいです。私の見解では、どの頭痛であっても首こりが深く関わっています。一般的には緊張型頭痛だけのように言われていますが、片頭痛も群発頭痛も肩こりと首こりが関わっています。その違いは、コリのタイプにあります。一言で「肩こり」と済ませることはできません。
私は、頭痛のタイプを痛みの位置から12の型に分けることにしました。そのタイプによって、それぞれ治療法が違います。
複合型がたくさんありますから、治療の組み合わせは無数になります。頭痛を痛みのタイプから整理して、その原因となるコリを治療すると頭痛は劇的によくなります。病院で「治らない」と言われた頭痛も、鍼灸でお役に立てることが多いのです。
こうした経験を通じて「頭痛に鍼灸がよく効く」という事実をたくさんの人に知って欲しい、と思うようになりました。私は地元(田舎)を出て品川に鍼灸院を作ったのは、こうした想いがあります。
「頭痛は鍼灸で」が常識になる日を夢みて…。
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はりきゅうルーム カポス オーナー(鍼灸師)
群馬に拠点を置き、東京と往復しながら慌ただしく仕事しています。効果がわかりやすい鍼灸を求めて研究の日々。その成果をカポスにどんどん投入しています。
・養気院 院長
・株式会社 活法ラボ 代表
・一般社団法人 整動協会 代表
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