東京研修日記・坂口編 鍼灸師のための「身体感覚を磨くワークショップ」受講レポート
坂口です。
8/8(月)に行われた活法セミナーの特別編、八光流柔術の広沢先生(豊和会代表)が講師をつとめる「重力を感じながら身体感覚を磨くワークショップ」に参加してきました。会場は活法研究会セミナーで定番のホテルサーブ渋谷の会議室でした。
重力を感じるワーク
早速ですが、その時にやった「重力を感じるワーク」をご紹介します。
普段は意識しない小さな重力を簡単に実感できる方法があります。
まず、身近にある軽いもの…ペンなんかが良いでしょう。軽いものであれば何でも構いません。
まず、片方の掌にペンを乗せてみてください。
ポイントは、肩にグッと力を入れておくことです。こんな風に。
その状態から今度は、力を抜いてみましょう。こんな風に。
どうでしょうか?
先ほどグッと力を入れていた時は感じなかったペンの重みを感じませんか?
「よくわからない」という人も、もう一度グッと力を入れて、抜いて、を繰り返してみてください。力を入れた状態だとペンの重みを感じず、左右の掌の感覚の差はあまりないはずです。逆に力を抜くと、片方の掌に乗っているペンの重みを感じるはずです。
これが「ペンにかかっている重力を感じる」ということです。
キーワードは「脱力」
今回のワークショップの目的は「身体を緩める」ことです。
自分の身体が緩んでいれば、触れた相手の身体も緩みます。これは、人の身体に触れることが仕事の大半を占める私たち鍼灸師にとってヒジョーに大切です。
ちなみに最初に断っておくと…「身体を緩める」というのはとても奥が深く、とても一日で手に入るような代物ではありません。常に身体を緩めて脱力した状態で居続けるのは達人レベルにならないとできません。
しかし、具体的な指導の元であれば、その一端を感じることはできます。2時間半みっちり使い、「身体を緩める」感覚を手に入れるために皆で柔術のトレーニングを行いました。
目指せ達人。
なお柔術のトレーニングというと何だか厳しいイメージがあるかもしれませんが、とっても「楽し~い」ワークショップでした。
ちゃんと重力、感じてますか?
講師の広沢先生は、温和な雰囲気を持った方でした。
広沢先生は最初に
「普段、重力を感じていますか?無意識でも力が入っていると、重力は感じ取れません。ちゃんと身体が緩んでいると、重力を感じることができます」
と話されてから、その基礎となる身体の使い方や考え方を講義してくださいました。
広沢先生の話を一言も聞きもらすまいと集中する竹内先生と私。
身体の使い方の話は、総じて言葉にしづらいもの。巨人終身名誉監督の長嶋茂雄氏が、スイングの指導の際に「ブンじゃ駄目だな。ブァ~ンじゃないと」と言ったそうですが、”できる人”の説明は時としてヒジョーにわかりにくい場合があります。
ですが広沢先生は技のキレだけでなく、理論の解説もとてもわかりやすい。さらに理論を聞いた後に実際に技を受けてみると「おお!」と瞬時に違いがわかります。
例えば、「力には出しやすい方向がある」という話。
広沢先生の腕をガッチリ握っている浦井先生が、いとも簡単に後ろに押しこまれます。
さらに、この理論は「腕立て伏せ」でも実感することができます。
上の写真、トレーニングしているのではありません。「力の出しやすい方向」を意識すると、腕立て伏せが楽にできます。逆に「力の出しやすい方向」に逆らうようにすると、途端にしんどくなります。
なんて不思議な体の法則!
広沢先生の話はとてもわかりやすく、自分も身体の使い方がうまくなった気がします。
ワークショップの後半では、メインテーマである「脱力」のトレーニングを行いました。
方法は簡単で「押されたら、転がる」だけです。言葉にするとこれだけですが(だから身体の使い方は言葉にするのが難しい!)、ただ転がればいいのではなく、「脱力」しながら転がるのが味噌なのです。
やってみると難しく、「ストン」と真下にしゃがみこむように転がるのが理想ですが、あちこちで「どすっ」「どたっ」と鈍い音が響きます。
広沢先生のアドバイス(これはワークショップに参加した人だけの秘密です)の通りやっているうちに段々と気持ちよ~く、楽し~くなってきました。
「あ~もっと転がりたいな~」
なんて思っているうちに、あっという間に2時間半のワークショップは終わってしまいました。
達人にはほど遠い完成度ですが「達人への第一歩を踏み出したかも?」と思わせてくれる、気持ちよ~く、充実した一日となりました。
はりきゅうルーム カポス(鍼灸師)
本物の鍼を追究するために大阪からやってきました。
患者さんに「鍼って本当に効くんですね」と言ってもらえた時に、鍼灸師としてのやりがいを感じます。
好きな言葉は「勝ちに不思議の勝ちあり 負けに不思議の負けなし」 趣味はサウナ。
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