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品川研修日記・坂口編(2) カポスが目指す理想の鍼灸院

" スタッフ研修, 坂口友亮 "

2016年7月2日

坂口です!

坂口友亮

 

今回のテーマは「カポスが目指している理想の鍼灸院」です。

 

カポスは花粉症専門の鍼灸院として開院しました。少しずつ専門領域を増やし、今では「頭痛」「めまい」「頚ヘルニア」「肩こり・五十肩」「鼻炎」「耳鳴・難聴」「顔面神経麻痺」にも対応しています。

 

鍼灸の適応症状からすれば、まだ多くはありません。なぜ症状を限定するのか疑問に思っていました。腰痛などいわゆる鍼灸施術のメジャーな症状がないのでなおさら。

 

どんな症状でも対応できるのが鍼の良いところなのでは?

 

対応する症状を多くするほど、多くの患者さんが来てくれるのでは?と思った私は、オーナーに聞いてみることにしました。

 

坂口と栗原

 

「詳しい人にお願いしたい」という心理

口「なぜカポスは特定の症状専門なんですか?もっと増やした方が、多くの人の役にたてるような気がするんですが…」

 

ーナー「単純に考えればそうかもしれない。でも、違うんだよね~」

 

「ん!? 対応する症状が多ければ、『何でも治療できる先生』」として頼りにされると思うのですが」

 

「それはね~ 一見患者さん思いの考えのようだけど…『多くの人に来て欲しい』という鍼灸院側の都合を言っているだけなんだよね」

 

「いや…そんなつもりは…」

 

「ところで、坂口くんはバイクが好きだよね?」

 

「はい」

 

「じゃあ、バイクが故障した時のことを考えてみようか。坂口くんのバイクが壊れてしまった! 自分で何とかしようとしたけど、どうにもならない。しかも、次の日も通勤でバイクは絶対必要だ、なんて状況を考えてみようか」

 

「最悪や…そんな状況、考えたくもないですね」

 

「そんな時、『A:車もバイクも、乗り物なら何でも修理します!』っていう所と、『B:バイク専門。バイクのトラブルに関しては、絶対自信があります!』ってところ、どっちにお願いしたい?」

 

「それは…Bでしょうか」

 

「なんで?」

 

Bの方が、バイクの細かい知識とノウハウを持っているのでは、と思うからです。車の修理が上手い人は、ある程度バイクの修理もできると思いますが、やっぱり困っているのはバイクのことですし…バイクに詳しい人にお願いしたいです」

 

整備士

 

 

「じゃあ、今のバイクの話を、『めまい』で悩んでいる人に置きかえてみようか」

 

誰だって名人に診てもらいたい

「めまいで悩んでいる人は、何を求めて鍼灸院に来るんだろう?」

 

「それはもちろん、めまいを治して欲しいに決まってます」

 

「そうだね。じゃあ、どんな鍼灸師に診て欲しい?」

 

「正直に言えば…腕の良い鍼灸師に診て欲しいです」

 

「名人と呼ばれるような?」

 

「そうですね!それならありがたいですね。でも…」

 

「でも…何?」

 

「名人って、そうはいないですよね」

 

「そうだよね。名人と呼ばれる人は、実際はほんの一握りしかいないよね。まあ、ネットを見るとゴッドハンドで溢れているけどね(笑) 努力したからと言って誰もがその領域に入れるとは限らないし、なれるとしても相当な時間がかかるよね」

 

「患者さんは、何でも診られる名人の治療を受けたい。でも、現実はそうはいかないですよね…

 

「そうだね。じゃあここからは現実的に『最良の鍼灸』の話をしよう」

 

現実的に実問題を「専門性の追求」でクリアする

「先に答えを言ってしまうと、『専門性の追求』なんだ」

 

「鍼灸院が専門性を追求すると、患者さんのためにも、鍼灸師のためにもなると?」

 

「そう。順番に考えてみるとわかるよ。まず、患者さんは最高の治療を受けたいと思っているわけだよね?」

 

「はい。でも現実的に何でも診られる名人になるには時間がかかりますよね」

 

「その通り。しかし、一つの症状に特化してトレーニングすれば、その症状では名人に匹敵する技術が身につけられるかもしれない

 

「はい」

 

「一つの症状であっても最高水準の施術ができれば必要とされると思う。そこから少しずつ対応できる症状を広げていく方が堅実だと思うんだよね。最初からぜんぶの症状で一流を目指したら、ぜんぶが中途半端」

 

「確かに」

 

「もちろん、何でもできる鍼灸師が理想かもしれない。でも、現実的にならなければいけない。鍼灸師が一歩一歩確実にスキルアップするには、対応できる症状をコツコツと増やしていくのが確実だと思うんだ」

 

「ふむふむ」

 

「つまり、患者さんに最高の施術を提供するのと、鍼灸師のステップアップを両立させようと思った時に、『専門性の追求』という解決策にたどり着いたんだ。将来はチームで多くの症状に対応できるようにと考えているんだ。個人の力には限界があるから、個人で理想を目指すのではなくチームで理想を目指す

 

「なるほど…」

 

グッドサイン

 

女子中学生との苦い思い出

このやりとりをしている時に、前に勤めていた鍼灸接骨院での事を思い出しました。私が担当していた中学生の女の子が、足を捻挫してやってきました。

 

病院に行くよりも先に私のところに来てくれたのは嬉しかったのですが、骨折しているかどうかの判断がつかず、冷や汗を流しながら施術をして…。完全に私の手に負える範囲を超えていました。「経過を診たいので、明日も来てほしい」と言うのがやっとでした。

 

幸いにも、その子は順調な経過をたどりました。この時に、「もうこんな怖い思いはしたくない。何でも診れなくてもいいから、確かなことだけをしたい」と思いました。

 

まずは、専門分野では負けない。そんな鍼灸師を目指すことから始めたいと思います。

 

研修はつづきます!

この記事を書いた人

はりきゅうルーム カポス(鍼灸師)

本物の鍼を追究するために大阪からやってきました。

患者さんに「鍼って本当に効くんですね」と言ってもらえた時に、鍼灸師としてのやりがいを感じます。

 

好きな言葉は「勝ちに不思議の勝ちあり 負けに不思議の負けなし」 趣味はサウナ。

 

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