肩こりの原因が猫背だと思っている方へ
猫背と肩こりの関係
「猫背が肩こりの原因ですか?」
肩こりの患者さんから時々頂いている質問です。猫背と肩こりの関係は、「卵が先か鶏が先か」の議論と全く同じです。猫背だから肩がこるのか、肩こりだから猫背になるのか、に結論はでません。
姿勢が悪いから肩が凝る
こう思っている方がたくさんいらっしゃいます。確かに、不自然な姿勢を続けていくと肩こりの原因になります。「ソファーでゴロゴロしながらテレビを観ていたり…」は不自然な姿勢です。続けていると本来の姿勢が狂っていきます。そして、肩こりの原因にもなります。
ここで考えていただきたいのは「本来の姿勢」です。肩こりを感じている時点で、猫背であろうとなかろうと、本来の姿勢から外れていると考えた方がよいのです。
一般的には、真っ直ぐな姿勢がよいとされています。半分は正しくて半分は間違っています。実際にやってみるとわかります。姿勢がピンとなるように、力をクッと入れてください。身体は固まって動きが止まります。身体測定であるなら問題ありませんが、普段の生活なら窮屈で仕方ありませんよね。
力を入れて真っ直ぐにした姿勢は、機能的ではありません。動きづらいばかりでなく、力が入り続けていると、肩こりの原因になります。真っ直ぐであることは悪くないのですが、力を入れて作っている姿勢であることが問題です。
ニュートラルな感覚
大切なのは脱力です。脱力した結果、真っ直ぐになるならよいのです。「真っ直ぐ」にも、力を入れた真っ直ぐと、力を抜いた真っ直ぐがあって、性質が全く違います。
本来であれば、力が抜いた時の方が真っ直ぐに立てます。そして、動きやすいはずです。長い棒を持って支える時も、垂直に真っ直ぐしておいた方がラクですよね。斜めにすると重く感じます。身体も同じで、真っ直ぐな方がラクなのです。
それなのに、なぜ姿勢が崩れて、猫背のように真っ直ぐでなくなっていくのでしょうか。これを厳密に説明しようと思うと難しいので、一言で表すと「ニュートラル感覚」が失われているからです。
「ニュートラル感覚」とは、「どの方向に対しても、すぐに動ける感覚」のことです。右でも左でもない、前でも後ろでもない状態です。身体は動いていますから、中心にピタッと静止することはありません。身体を固定することではなく、中心付近でユラユラしていることです。見えない小さな動きです。
中心は、固定されているようで、動いている。
中心は、動いているようで、固定されている。
人間とロボットの違い
人間はユラユラしています。止まっているようでも、ユラユラと細かく動きながらバランスを取りつづけています。眠っている時もユラユラは止まることはありません。それに対してロボットにはユラユラがありません。見た目を精巧に作っていても、無機質な印象が残るのはそのためです。
人間の関節には融通性があります。ロボットの関節との決定的な違いでもあります。人間の関節は、固定されているようで動いていますし、動いているようで固定されているのです。
特に脊柱は、多くの椎骨と言われる骨が連結し、しかも身体を縦に貫くように位置しているので、ユラユラ構造の中枢です。まさに、中枢神経と言われる脊髄も通っているところです。
脊柱と手足のユラユラ構造
脳はいつでもユラユラを感じて取っています。ユラユラしている方が真っ直ぐな方がラクと感じ、肩こりも起こりにくいのです。脊柱の動きが止まってユラユラしなくなると、関節や筋肉はどちらかの方向に偏りユラユラしなくなります。関節はカチカチに固定されていきます。そして、筋肉はこわばります。
逆のことも言えます。手足の動きが止まってユラユラしなくなると、脊柱はカチカチになっていきます。理想は、脊柱と手足が常に波を打つようにユラユラが連続している状態です。
猫背という状態は、骨や関節が背中が丸まった状態で固定されてしまった状態です。ユラユラしていない状態です。猫背を直そうと思って、ピンと背筋を伸ばしてもユラユラしていくわけではありません。もう一度ユラユラさせるには、ユラユラをロックしている点を見つけ出して緩めればよいのです。
カチカチ筋肉を解く鍵
カポスの鍼は、ユラユラをロックしている点を探し出して対処するものです。ですから、カチカチになった筋肉に直接鍼をするのではなく、ユラユラを奪うきっかけとなった点(原因)を探します。そうした点は痛みやコリを感じるところとは限りません。むしろ、離れたところにあることの方が多いのです。
肩こり治療は、最終的には筋肉をほぐすことが目的です。直接手を出さなくても、ユラユラが戻ると筋肉は自然にほぐれるものです。自然にほぐれることがとても大切です。関節が自然に動きやすくなるので、身体が軽く感じます。自然であるかないかがよい鍼治療とそうでない鍼治療を分けると考えています。
カポスの鍼は、凝った筋肉に鍼をして血流を改善させるだけではありません。身体が本来のユラユラした、軽くて動きやすい状態を取り戻すことができる鍼です。従来の鍼灸を活かしつつ、こうした発想を取り入れて成果を上げています。
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・美しい姿勢と活法 (外部サイト:オーナー栗原の記事)
はりきゅうルーム カポス オーナー(鍼灸師)
群馬に拠点を置き、東京と往復しながら慌ただしく仕事しています。効果がわかりやすい鍼灸を求めて研究の日々。その成果をカポスにどんどん投入しています。
・養気院 院長
・株式会社 活法ラボ 代表
・一般社団法人 整動協会 代表
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