仰向けから起き上がる時に出る肩の痛みは胸鎖乳突筋が原因だった
院長の秋澤です。
Mさんの左肩の痛みは、下を向いての作業や電話をしている時にとても辛いとのことでした。普段、受話器を左耳に当てて肩と頭で挟みながらパソコンの入力作業をするそうです。
が、徐々にその動作が痛みで耐えられなくなってしまったため、慌ててインターネットで検索し、当院を見つけたそうです。
(左右が逆ですが、この動きです)
痛みと動きの関係
カポスでは、痛む場所を重要視していますが、楽になる、または悪くなる動作も同じくらい重要視しています。動きで痛みが変わるということは、その動きと痛みが関連しているからです。
受話器を左側で挟む動きは、頭を左前に倒す動きが主役です。ですから、この動きに関わるツボを調べていきました。背中のツボを確認し、仰向けで状態を確認しようと誘導しようとしたところ、Mさんの表情が曇ったのです。
何かあると思って「仰向けで痛み強くなりますか?」と、聞いてみると、
「あの…さっきは言っていなかったんですけど、仰向けになると痛くて起き上がれないんです…。」
と返ってきました。
その場で実際にやって頂くと、確かに難しそうです。仰向けから起き上がろうとする瞬間に痛みが出て、それ以上動けないのです。
これはどういうことなのでしょうか。
やってみるとよくわかります。仰向けから起きようとする時、最初に顎を引く動きが出ると思います。通常は、この動作をきっかけに上体を起こします。Mさんは、この最初の動作ができないため起き上がることができず、しかも、その時に左肩に痛みが出てしまうのです。
このように考えて行くと、Mさんの肩の痛みが胸鎖乳突筋(ノドぼとけの両脇にある筋肉)と深く関係していることがわかります。つまり、肩の痛みの原因は胸鎖乳突筋にあったのです。
胸鎖乳突筋が手のツボで改善
筋肉が特定できたので、胸鎖乳突筋と深く関わる手にあるツボを使います。仰向けで鍼をして10分待ちました。鍼を抜いて、さあチェックです。
Mさんは恐る恐る起き上がります。
「いた…くない?」
起き上がる際に痛みがないことが不思議な様子。再び仰向けになって、起きては寝てを繰り返し、痛みが出ないことを何度も確認していました。
「痛くない! 手で? なんで? ふしぎ〜!」
改めて、座った姿勢で首の動きをチェック。仕上げにもう一本鍼をして施術を終了しました。1週間後の来院時も、良い状態のままでした。
まとめ
・痛みがある場所だけでなく、痛みが楽になる・強くなる動きのチェックも重要です。
・肩に痛みがあっても、原因が肩にあるとは限りません。
・受話器を頭と肩で挟む動きと朝起きる時の動作には共通点があります。
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≫症例27(頚肩腕症候群・肩こり)
はりきゅうルーム カポス 院長(鍼灸師)
整体師(活法)歴は10年以上あるが、鍼灸師としても一流になるためにカポスに入社。二刀流(整体・鍼灸)に憧れている。臨床で人体のしくみを解き明かす日々に喜びを感じています。
日ハムと名古屋グランパスを応援している二児の父。
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