歯科での経験が私を良い鍼灸師にしてくれるかもしれない
新スタッフの岡本悠馬です!
10月に群馬の養気院からカポスに異動してきました。
それに合わせて自宅も引っ越したのですが、当然、これまでに行っていた病院も変わることになります。
とはいっても、わたしはここ数年は病気とは無縁で、数ヶ月に一回、歯医者さんにクリーニング&検診に行く以外は、まったく病院に用がありません。
そろそろ引っ越しの後始末も落ち着いたところで、歯を見てくれるところを新しく探して行ってきました。
養気院にいたときは近所にとても良くしてくれる歯科医院があり、そこでずっとお世話になっていたので、またそんなところに出会えることを願っています。
上に書いたとおり、わたしは普段ほとんど医療機関に行かないので、たまーーーーーに行くときには同業者の端くれとして、どんな風に患者さんに対応するのか、どんな風に説明するのか、参考にさせてもらおうと思って行っています。
今日行った歯科医院でも、気づいたことがいくつかあるので、備忘代わりにここに記しておきます。(愚痴ではありませんので)
1.受付は愛想が良い方がいい
当たり前すぎる話です。別に「いらっしゃいませーー!!」でなくていいですが、機嫌良さそうにしている方がいいです。その職場の雰囲気とかがまるごと出てしまうのが受付です。入った直後の第一印象はだいたい当たります。
あと、予約制をうたっているところなら、顔を合わせたときに「◯◯さんですね」と確認するくらいがいいです(一人ずつ診ているようなところの場合)。「おや? 誰だろう…?」みたいな感じで対応されると寂しい。
これは、その施設の院長がどれだけ第一印象を重視し、スタッフを教育しているかにかかっています。
2.施術者は自己紹介した方がいい
鍼灸院では自己紹介しない人はほとんどいないと思いますが、病院や歯科医院では医師が名乗らないことも多いです。
忙しいのでしょうけれど、名前くらいは言う方がいいです。
3.事前に提供してくれている情報はちゃんと押さえておく方がいい
ネット予約できるところなら、症状や求めていることについて事前に書いて送っているでしょうし、到着して改めて問診票に記入して渡すことも多いでしょう。
その上で、いざ施術者と対面したときに「で、今日は何を…?」とピュアな目で見つめられたら、「いやいや、何回も書きましたよ?」と思ってしまいます。
もちろん誤解があってはいけないので内容についての確認は必要ですが、一から尋ねるというのはやはり違いますよね。
4.いきなりマイナス面を指摘しない方がいい
「歯茎が傷んでますねぇ」とか「ここに歯石が溜まってますね」とか、いきなりマイナス面をバンバン指摘されました。
別にそれで傷ついてはいませんが、歯は毎日丁寧に磨いているし、バーっと水が出る洗浄機とかも使ってるし、何よりこうして定期的にクリーニングに来ているのだから、そんなにひどくはないはず(ひどくないと思いたい)。虫歯もないし。
鍼灸でいうならば、「ガッチガチですねぇ」とか「悪いところだらけですねぇ」とか、ドシドシ指摘しちゃう感じでしょうか。
別に無理に褒めてあげる必要はありませんが、自分ならば、まず事実関係を整理して「右側は大丈夫ですが、左側がちょっと気になります」とか、患者さんが不安になったり恥ずかしい思いをしかねないことについては少しずつ信頼関係を作った上で述べていくようにしたいです。
ただ、たまに「ガッチガチ」であることを指摘すると、「やっぱり!?」となぜか嬉しそうにする人もいるので、難しいところです。
5.話を聞いたなら対策を示すか、見解を述べた方がいい
「歯磨きのときに歯茎から血が出たりします?」と聞かれて、「はい、そういえばありますね」と答えましたが、そのまま流されました。「え? なんか対策要らないの?」と思ってしまいました。
私たちの施術で言うならば、耳の症状でいらっしゃった方に「アゴが痛くなったりしませんか?」と尋ねることがあります。
「ある」と言われれば、耳の症状とアゴの状態の関係についてお話します。
「ありません」という答えならば、「ちょっと触れさせてもらったときに、アゴの関節周りが硬かったので尋ねてみました。ないのであれば、それでOKです」という風に答えます。
聞くだけ聞いてほったらかしはやめておいた方がいいです。
仮に通院の目的とまったく異なっていたり、自分の手に負えないようなことであっても、何かしら見解を述べることは必要だろうと思います。
6.通院の頻度は施術者の基準で見解を述べた方がいい
「半年前にクリーニングしてもらいました」と言ったところ、最後に「また半年後くらいで」とおっしゃられました。
「半年」というのはわたしが絶対にこうと決めているわけではなく、いつもは3ヶ月だったり4ヶ月だったりします。半年空いたのは、たまたまです。
結論が同じだったとしても、施術者が患者の話にそのまま乗っかって「◯◯くらいで」と言うよりも、「よく管理できているので、◯ヶ月後でいいと思います」とか、「ちょっと症状が強いので、◯日後に来てほしいです」と言える方が「プロだな」と思えます。
最終的に決めるのは患者なので結論は同じになるかもしれませんが、プロとしての見解を入れるべきです。
7.施術によって何がどうなったのか、わかる形で見せた方がいい
どこがどうなっていたのか、何をどうする目的で施術をしたのかを伝えず、「感覚どうですか?」とだけ言って終わらせると、自分がした仕事がぼやけます。今回のわたしの場合だと、うがいをしたときに何か緑の薬みたいなものが口から出てきて、初めての経験だったので驚きました。
活法では「言葉の先行」と言いますが、これから何が起こるのか、どうなるのかを誘導することは重要です。
鍼灸であれば、動きが変わった、ここの緊張が取れている、といって、両者がわかる形で示すことが必要だと考えます。
医療機関での体験は本当に勉強になる
最後にもう一度強調しておきたいのは、上に書いたことは愚痴でも告発でもなくて、「もう少しこうなったら患者さんは幸せになるだろう」「信頼してくれるだろうと」気づいたことを記しているということです。
医療者が医療機関にかかるのは、料理人が別のレストランに食べに行くようなものです。つい「自分だったらこうするな」とか、考えながら治療を受けます。
「これはまずいだろう」とか「ここは自分でも参考にしよう」という風に考えながら診療を受ける方が、おもしろいです。
自分も同業者や、いくつもの鍼灸院で施術を受けてきた患者さんを診させてもらうことがたくさんあります。
その方が何を感じ、何を考えるだろうと想像します。
きっと自分にはまったく気づいていない盲点があります。その盲点を少しずつ減らしていくことが、良い鍼灸師になる道であろう、と考えています。
古くて新しい鍼の可能性を追究するため、兵庫県神戸市からやってきました。
養気院(群馬県)を経て、2023年よりカポスにて勤務。
趣味は中国語の勉強です。
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