原因と解消法
肩こりの原因
姿勢
無理な姿勢は肩こりの原因になります。特に、足を組む癖のある人は要注意です。足を組んだ状態は、片方の坐骨(足の付け根)に体重が乗っている状態です。この状態が長時間続くと坐骨周辺が緊張してきます。坐骨が緊張すると、肩甲骨に緊張が伝わり肩こりを引き起こします。座っている時は、足を組まずに左右の坐骨に均等に体重が乗せてください。
冷え
冷え性の人は全身(特に末梢)の血流が悪いため、筋肉に老廃物や疲労物質が溜まります。この疲労物質が肩こりを引き起こします。
また、冷え性がある人は、外気温に影響されやすく、エアコンの冷たい風に当たったり、急に気温が下がると肩こりが強くなる傾向にあります。首、手首、足首を冷やさない工夫、お風呂でよく温まる(特に下半身)、適度な運動で筋肉を動かす事で体を温めるなどの対策が必要です。
ストレス
ストレスをためやすい人は肩こりになりやすいです。ストレスがどのように体に影響し、肩こりを引き起こすのかを神経系と姿勢の2つの側面から説明します。
ストレスを感じると自律神経の中の交感神経が活性化します。すると血管が収縮し血流が低下します。筋肉内部の血流が低下するとこりとして症状が出てきます。これが体の中で起こっている神経系の反応です。
次は姿勢との関係です。ストレスがかかると心が緊張した状態になります。心が緊張すると体は本能的に守ろうとして、身構えるような防御姿勢になります。それにより首や肩が緊張して肩こりが出てきます。
疲れ目
目の疲れが肩こりの原因になっている事があります。目の使い過ぎで交感神経が活発化し、血管が収縮し肩こりが起こります。疲れ目の原因で一番多いパソコン作業ですが、最近ではVDT症候群(テクノストレス眼症)と呼ばれ、パソコンの使用と大きく関係する現代病ともいえる病気です。目の疲れが重症化すると眼精疲労となり、視力低下や頭痛、肩こりなどの体の症状も出現します。
☆詳しくはこちら≫眼精疲労
運動不足
運動不足になると肩こりになりやすくなります。運動不足になると筋力が低下し柔軟性も低下してきます。すると筋肉が本来の伸び縮み運動をしなくなり、血流が悪くなっていきます。結果肩こりが起きてきます。
噛み合わせ
噛み合わせが悪いと左右であごの筋力のバランスが乱れてきます。ひどくなると口が開かない、パキパキ音が鳴るなどの顎関節症になります。顎関節症になるとあごのバランスを取るために首や肩の筋肉に負担がかかり、常に緊張した状態になります。
内臓の病気
内臓の状態が肩こりとして現れてきます。これを関連痛といいます。
心臓病 | 狭心症や心筋梗塞では左胸から左肩にかけて痛みやこり感、又は激しい痛みの発作が起きる場合があります。 |
肝臓障害 | 肝臓や胆嚢に病気の疑いがあると右肩から肩甲骨に関連痛が出る可能性があります。 |
胃腸障害 | 胃の調子が悪くなると肩甲骨と肩甲骨の間から少し下にかけて、張り感や痛みが出る可能性があります。 |
☆詳しくはこちら≫内臓からくる肩こり
骨の異常
頚椎やその周囲になにかしらの異常がみられると肩こりや頚こり、腕のしびれなどが現れてきます。
頚椎には多くの神経が通っています。主に腕の運動や感覚を支配する神経や、自律神経の重要な集合地点も存在します。また脳を栄養する重要な血管が頚椎の中を通っています。
変形性頚椎症、頚椎ヘルニア、頚肋症候群、肋鎖症候群、斜角筋症候群、過外転症候群などの骨格による異常がありあす。それぞれ症状が似ていますが、原因によってアプローチの仕方が変わってきます。適切な治療を受けるためにしっかりと検査することも重要です。
☆詳しくはこちら≫骨格からの症状
肩こりの解消法
セルフケアで解消できない場合、一般的に次のような選択肢があります。
鍼灸院に行く
国家免許を持つ「はり師」「きゅう師」が対応します。カポスはこのカテゴリに入ります。肩こりは鍼灸治療が得意とする症状です。
鍼灸師は専門知識の他に、基礎的な医学知識を必ず備えているので、重篤な問題が隠れている場合にはその可能性を疑うことができます。必要だと判断した場合には病院での検査をすすめることがあります。
整形外科に行く
整形外科では捻挫、骨折、筋肉の痛み、関節の痛み、神経の痛みなど体を動かす時に使う部分が診療範囲となります。レントゲンやMRIなどの画像診断もすることが可能です。
また、リハビリ機関も併設されており、理学療法士が従事しています。理学療法士とはケガや病気などで身体に障害のある人などに対して、基本動作能力(座る、立つ、歩くなど)の回復や維持などを促してくれます。
接骨院(整骨院)に行く
接骨院の特徴は国が定めた適応範囲内であれば健康保険が適応になります。主に対象となる疾患は、骨折、脱臼、打撲、捻挫、挫傷(肉離れ含む)になり、この場合のみ保険の対象となります。肩こりは保険の適用外です。
整体院に行く
「整体」には免許がないため、整体院では国家免許を持たない施術者が行っていることがほとどんです。免許に見えるのは整体学校が発行している修了証や認定証です。国家免許には厚生労働大臣の名前が記されているので、区別ができます。整体院には医学知識に乏しい施術者もいるため、理解した上で利用することが大切です。
マッサージに行く
本来、マッサージは国家免許を持つ「あん摩マッサージ指圧師」の業務ですが、規制がないため誰でもマッサージ業を行うことができます。最近では「整体マッサージ」という言葉も生まれていますが、そのほとんどが国家免許を持たない無認可手技療法です。
カイロプラクティックに行く
日本では免許制度がありません。無認可手技療法に属します。カイロプラクティックはアメリカで発案された手技療法で、技術が体系化されています。
違いを解説
整形外科と接骨院
医師が業をしているのが整形外科、柔道整復師が業をしているのが接骨院です。どちらも国家免許です。
接骨院と整骨院
呼び名が違うだけです。いずれも柔道整復師が業を行っています。
整体とカイロプラクティック
整体にははっきりとした定義がありません。骨格矯正(バキバキ)からマッサージに近いものまで多種多様な手技療法が整体と言われています。カイロプラクティックはアメリカで発案された手技療法で、技術が体系化されています。いずれも国内では法制度がないため無認可手技療法に入ります。