群馬研修日記・坂口編(4) 休みでよかった養気院
坂口です。
研修は4日目を迎えています。
前回のあらすじ:理想の鍼灸のスタイルを求めてカポスにやってきた坂口。そこで期待通りの臨床を目の当たりにする。しかし、それとは裏腹にざわつく心…期待どおりなのに不安になるって、なんで?
この違和感、放っておきたくありません。正直気が進みませんが、違和感の正体を探っていきたいと思います。鬼が出るか、蛇が出るか…。
鍼灸の学生時代に感じた疑問
話は、学生時代にさかのぼります。
教科書の標準治療を学び、それを実際に行う実技の授業がありました。耳鳴りや慢性鼻炎、胃痛などの内臓器疾患が多く取り上げられていました。
授業が終わってから、担当の先生に「先生は実際に臨床でこの方法を使っていますか?」と尋ねたところ、「使っていない」という答えが返ってきました。さらに「なぜですか?」と尋ねると「私は別のやり方でやっているから」とおっしゃいます。
どの先生に同じ質問をしても、同じような答えで、実際に教科書の標準治療をしている先生はいませんでした。
「教科書の標準治療を、誰もやっていないのはなぜだ???」
この事例だけではなく、素朴な疑問を周囲の人に聞いて回っていました。それも悪気なく。「なんでなんで?」と何でも聞いて回る子供のようだったかもしれません。
無邪気な子供がやるから可愛げがあるのであって、ハタチそこそこの男がやっても、ウザったかったと思います。
鍼灸師の免許を取り、鍼灸接骨院で働き始めても、私の「なぜ?」が解消される事はありませんでした。
なんとかせねばと思うものの、たちまち2年が過ぎてしまいました。
そんなある日、その疑問を解決するチャンスが訪れます。以前から気になっていたカポスの求人を目にしました。
幸いにも採用が決まり、オーナーのいる群馬の養気院で期待通りの臨床を目の当たりにしました。しかしその時、真っ先に私が感じたのは「喜び」「安心」といった感情ではなく、「不安」「違和感」だったのです。
おかしい。目的を達成してるはずなのに…
目的…
目的?
そういえば…
疑問には意味があった
嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え 岸見 一郎 古賀 史健 ダイヤモンド社 2013-12-13by G-Tools |
この本、日本のアドラー心理学研究の第一人者、岸見一郎氏の著書「嫌われる勇気」です。
アドラー心理学が一躍脚光を浴びるきっかけになった本です。アドラー心理学には既存の心理学に無い特徴がいくつかあり、その一つが「目的論」を採用している点だと言われています。
・現状に不満がある
・グチっぽい
これを目的論の立場から考えると
・不満には意味があった
・グチることで周囲にリアクションを求めていた
と考えられます。まさに私のことです。
自分自身に決着をつけるべく、目的論の手を借りて一つずつ見ていきます。
不満の目的
「現状に不満がある」という事は「他人が疑問を抱かないところに疑問を持つ」と言い換えられます。これは、「他人には無い視点を持っている=特別な自分を演出している」のです。
さらに、「この不満を解消する方法がどこかにあるはずだ」と考えれば、「方法さえ見つかれば俺はこんなもんじゃない」と自分に言い聞かせられます。
そう、「まだ俺は本気だしてないだけ」という言い訳です。
グチの目的
これは単に、かまってほしい気持ちの表れでしょう。
これ以上の意味はなさそうです。
結論
これがオーナーの臨床を目の当たりにして感じた「不安」や「違和感」の正体です。
◎不満が無くなると、特別な私ではなくなる
◎本気を出すと、自分の実力がバレる
◎グチがなくなると、かまってもらえない
なんということでしょう…つまり私は、
「いい年して特別視されたがり、まだ本気を出していないだけのかまってちゃん」
なのです。
・・・恥ずかしすぎます。
まさか研修に来てこんな強烈な洗礼を受けるとは夢にも思っていませんでした。しかしこの事実に気づいてしまった以上、もう逃げも隠れも出来ません。幼稚な自分と、とことん向き合うしかありません。
明日と明後日、研修はお休みです。よかった。
はりきゅうルーム カポス(鍼灸師)
本物の鍼を追究するために大阪からやってきました。
患者さんに「鍼って本当に効くんですね」と言ってもらえた時に、鍼灸師としてのやりがいを感じます。
好きな言葉は「勝ちに不思議の勝ちあり 負けに不思議の負けなし」 趣味はサウナ。
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