突発性難聴・耳鳴
突発性難聴と耳鳴もカポスの専門領域です |
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突発性難聴は早期の鍼治療が有効です |
突発性難聴は感音性難聴の一種
突発性難聴に伴う耳鳴りの原因
突発性難聴(突然の聴力低下)と共に現れた耳鳴りは、聴力の回復と同時に改善します。理由は内耳と脳の関係で説明できます。
空気の振動は、最終的に脳によって認識され“音”となります。しかし、鼓膜が震えて生じる信号が内耳で遮断されると、脳に届かなくなります。
しかし、前までは入力されていた信号が突然なくなるので、脳は内耳のトラブルを正確に認識できず、信号が“あるはず”だと認識してしまいます。その”あるはず”の音を、脳自身が作り出してしまったものが耳鳴りです。そのため、低下した聴力と同じ音域の耳鳴りが生じることが多いのです。
このようなお悩みや症状に
・薬を飲んでいるが改善の兆しがない
・聴力が回復したが完全ではない
・耳の奧につまった感じがある(こもり・閉塞感)
・耳の周辺に違和感がある(重さ・圧迫感・冷感)
・聴力は戻ったが耳鳴りが治まらない
・声や物音が響くように聞こえる
・ステロイドの点滴だけで完全に治るのか心配
・高気圧酸素療法を行っても効果がない
・再発が心配で予防できる方法を探している
・ストレスを感じると耳鳴りが強くなる
・めまいがする
・耳鼻科で「耳鳴は一生付き合うもの」と言われてしまった
なぜ鍼治療が有効なのか
鍼治療が得意とする血流改善効果を利用します。
突発性難聴は原因不明と言われていますが、発症前から耳周辺の血流が極端に悪化していたと考えられます(そもそも、感音難聴の中で原因不明なものが突発性難聴と定義されています)。
耳周辺の組織や細胞に必要な酸素と栄養素が十分に届かないと、全体もしくは一部が仮死状態になってしまいます。
一時的な血行不良であれば、血行が回復すれば聴力は元通りになります。しかし、血行不良が何日も続いてしまった場合は簡単に戻りません。血行を改善させ、その良い状態を保ちつつ聴力の回復を待つしかありません。
聴力は落ちる時は一瞬ですが、回復には時間がかかります。適切な治療を行ったとしても、聴力の戻り方はゆっくりですから、中長期的な治療計画が必要です。
鍼治療における治療期間の目安は1~3ヶ月です。発症から1ヶ月以内であれば完治する例も少なくありません。1ヶ月を過ぎても3ヶ月以内であれば回復の可能性が残っているため、試す価値が十分にあります。希に3ヶ月を越えても回復する例がありますので、一律に期限を決めることはできません。
突発性難聴において鍼治療は特別です。他の療法では得ることができない血流改善効果が期待できるからです。ツボの作用を利用することで、耳の奧を含む周辺の血流を集中的に改善させることができます。
突発性難聴は、全身の血流に問題があるわけではありません。聴力に関わる部分の血流が阻害されたに過ぎません。治療の考え方として大切なのは、血流の悪い部分に効果を集中させることです。
投薬や高気圧酸素療法は、耳に効果を集中させることはできません。全身に及ぶ作用が耳周辺にも及んでいるだけです。“耳への効果を待つ”という側面は否めません。
突発性難聴の人に共通する身体的特徴
鍼治療を行っている立場から見ると、突発性難聴になってしまった方には共通点があります。それは頚の緊張(筋肉のこわばり)がとても強いことです。特に側面の緊張が目立っています。
この緊張は顎関節にも影響を及ぼしているため、口の開きが悪くなっている場合があります。もともと顎関節に違和感を感じていた人が突発性難聴になっているケースもありますが、必ずしも自覚症状があるとは限りません。
顎関節と耳はすぐ隣です。聴力に重要な内耳も顎のすぐ近くです。耳の穴に指を入れて口を動かすと、奧の方まで動いているのがわかります。それくらい近いのですが、病院に行くと、耳は耳鼻科、顎は歯科か口腔外科となり、別々に扱われてしまいます。
本来であれば、耳の病気を治そうとするなら顎関節の状態を無視できません。当院では、耳と顎の関係に着目し、耳の内部の状態を整えていきます。
カポスの鍼治療が優れている理由
突発性難聴の治療には専門的な技術が必要です。ここから、当院がどのような工夫を行っているのかを説明します。
1.耳の周りに鍼をしない
突発性難聴や耳鳴りを専門とする鍼灸院では、耳そのものや周囲に鍼をすることで、血流改善を促すことが多いようです。こうした方法にも効果がありますが、当院では「耳の周りに鍼をする方法」の限界を超えるため、さまざまな工夫を行っています。
実は、耳周辺のツボが正解とは限りません。むしろ、遠隔のツボの方が良い場合が多いのです。成果を出すために最も大切なのは、耳の奧の方に効果を届けることです。
耳周辺のツボに鍼をしても、その先は耳の奧に届くことはありません(届くような鍼は危険なのでどこでも行われていません)。直接的に悪いところを刺激しているようで、そうではないのです。
当院では、耳周囲にこだわらず、耳の奧に効果が届くツボを全身から拾い集めています。耳周辺のツボだけでは得られない効果を積極的に求めていきます。
2.顎関節を緩める
内耳の環境を整えるにあたり顎関節の調整は極めて重要です。「顎関節」と一言で言っても、関わる筋肉は無数にあります。顎だけを眺めていては解決の糸口はつかめません。顎を緩めるためには、全身の骨格的なバランスも整えておく必要があります。
3.頚こり・肩こりの根を解消する
突発性難聴や耳鳴りに重要な顎関節。その顎関節には多くの筋肉が関わっています。頚の筋肉はもちろんのこと、肩の筋肉も関係しています。しかも、顎に通じる筋肉には直接触れにくい筋肉も含まれているため、マッサージでは対応できません。鍼でも同様です。
肩甲骨を含む全体の筋肉を柔らかくすることで、結果的に顎関節につながる筋肉もほぐれていきます。手、足、背中のツボを使ってコリがなく動きやすい肩甲骨を作っていきます。
4.耳と通じる鼻のケアを行う
耳の環境を整えようとする時、鼻のコンディションは無視できません。鼻の通りを保っておくことで耳の回復を誘うことができます。
この場合も、直接鼻や周辺に鍼をするわけではありません。手足や背中のツボから鼻が通るように仕掛けます。アレルギー性鼻炎を得意とするカポスならではの技術があります。
5.オージオグラムを参考にしながら行う
当院では、聴力検査(オージオグラム)を参考にしながら、病状を客観的に判断しています。オージオグラムの読み方を確認し、聴力と耳鳴りの関係も説明します。
鍼治療を開始した後は、2週間に1回程度のペースで聴力を検査し、症状と照らし合わながら治療を進めていきます。
オージオグラムの読み方
関連記事:オージオグラム(聴力検査表)の見方を説明します
持参していただくもの
・聴力検査の結果(オージオグラム)
・おくすり手帳(薬の内容がわかるもの)
通院の目安
突発性難聴とそれに伴う耳鳴りでは、週2~3回の通院が必要です。発症から鍼治療までの時間が短いほど、得られる効果は高くなります。
発症から3ヶ月以内であれば改善の見込みはありますが、1週間以内に治療を開始するのが望ましいと言えます。軽微な症状では3回程度で完全に回復する例もありますが、多くの場合は5回以上の施術を必要とします。治療期間は1~3ヶ月です。
耳鳴り単独の症状である場合、週1~2回の通院が必要です。3~5回の施術で改善の兆しが表れた場合は、継続すると改善を見込めます。
施術について
当院の鍼治療は、効果が高いツボを絞り込んで行います。耳の周辺に鍼をすることもありますが、耳の奧に効果が及ぶ手足のツボを主に使用しています。背中や腰にあるツボも頻繁に使います。
ツボを絞り込み少数の鍼を使う本来の目的は、効果が分散されないためです。ひょっとすると、鍼を増やせば増やすほど効果が高いように思われるかもしれません。しかし、それほど単純ではありません。
ツボの刺激は、いわば体へのメッセージです。要望をたくさん出すほど体は混乱してどれも中途半端になります。その日に伝えるメッセージを絞り込む方が、体はしっかり応えてくれるのです。
突発性難聴と耳鳴りでよく使うツボ
当院の鍼治療をイメージして頂けるように、よく使うツボを記しました。耳の周辺に鍼をする方法が主流ですが、当院では手足と背中のツボを中心に使っています。
突発性難聴や耳鳴りの治療では、耳の深いところの血流を改善させることが重要です。耳の周囲のツボを使っても一定の効果はありますが、同時に限界も感じます。東洋医学の叡智を集結し、あらゆる角度から改善の策を探します。
実際に治るのか
当院を訪れる方は、病院(耳鼻科)の治療で満足な成果が得られなかった方ばかりです。「あきらめたくない」という気持ちから情報を探し、鍼灸にたどり着く方がとても多いです。改善例を見て、希望を託す想いで来院されています。私たちは、その想いに応えようと技術向上に努めています。
実際の成果として、完治する例、50%程度回復する例、若干回復する例など、結果はそれぞれです。治療の成果は条件(症状の重さ、発症からの日数、通院回数)次第です。常によい結果を目指していますが、残念に終わってしまう例もあります。完全回復という嬉しい例も後を絶ちません。鍼灸は、突発性難聴の治療の可能性を広げることができます。
可能性は早めに治療を始めるほど広がります。落ち着いて検討し、心が決まりましたら1日でも早くご相談ください。
関連情報:「実際のところ、鍼灸院で突発性難聴と耳鳴りは治るのか?」(オーナーのブログ)
音が戻ってくる喜び
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