突発性難聴・耳鳴の症例
突発性難聴と耳鳴の鍼灸治療<改善報告集> | |
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症例15 耳なり「ミー」、自分の声が響く、耳がつまる
患者
女性 50代
来院
2018年 8月
症状と来院理由
2018年1月 聴力低下。入院してステロイド治療を行なったが変化が見られなかった。
「低音障害型感音難聴」と診断を受ける。
6~7月 少し聴力が上がった感覚がしたため、さらなる改善を求めて近所の鍼灸院へ。週1回、合計6回施術を受けた。
しかし耳鳴りが強まりかえって悪化した感じがした。
8月 初来院。
「ミー」という耳鳴り。特に周りが静かな時にはっきりと聞こえる。
自分の声が響く。耳のつまりがある。
症状の程度は日によって波がある。1日中全く問題がないという日はない。
治療内容と経過
肩甲骨内縁〜肩の上にかけて左右ともにコリが強い。耳への血流を促すためにコリを取り除くツボに鍼をした。
初回後から耳鳴りが大きくなる。
3回目頃から耳鳴りが小さい時間帯が増える。ただ日によってまだ波があり、一日中小さい日はない。
ここまで治療方針は変えず。
13回目以降、施術内容を「のぼせ対策」に絞る。
経過は順調。落ち着き出す。つまりがなくなり、耳鳴りが小さくなった。
15回目の後、聴力検査をしたところ聴力回復がみられた。
状態が安定していたため16回目で終了とした。
同時に治療した症状
なし
使用した主なツボ
陰谷R 上髎R L2(2.5)R
考察
肩甲骨内縁〜肩の上にかけて左右ともにコリが強いが、これは耳への血流を改善させるために取り除く必要があった。
他にものぼせの症状が出ていた。頭部に過剰な熱が溜まると耳へ悪影響を及ぼす。
そのため、のぼせを取り除く鍼だけでなく、のぼせの辛さを自覚したら積極的に冷すように指導した。
2つの狙いの効果が、耳の症状改善に繋がった。
[KAMIH191128]
症例14 肩こりと鼻つまりを伴う突発性難聴
患者
女性 30代
来院
2017年12月
症状と来院理由
肩こりがひどいと感じていた矢先、左耳に閉塞感を覚えたがすぐに改善したため気にしなかった。その2日後突然耳鳴りと閉塞感になり翌日耳鼻科を受診。「左耳突発性難聴」の診断を受け、薬を処方された。
左耳の聞こえにくさがあり、しゃべったり聞いたりする音に合わせてピーという電子音がする。耳の閉塞感は左右両方に感じている。
薬だけでは不安で他に何かできることはないかと考え、以前から他の鍼灸院に通っていたことから耳にも鍼が良いのではと考えた。インターネットで検索し症例の多い当院を見つけ、耳鼻科受診の翌日に来院した。
治療内容と経過
問診で、耳鳴りと閉塞感が発症する直前、ひどい肩こりの他に風邪を引いたことがわかった。現在でも鼻が少し詰まっているとのこと。
症状の改善には、肩こりと鼻づまりを改善することが大事だと考えた。触診をすると、右側の頚・肩こりの方が強かったため緩解させた。すると右耳の閉塞感は無くなった。
2回目以降は左側の硬さが残っていたことから、左の頚・肩こり・鼻づまりにアプローチした。その後、聴力検査で左耳はやや改善した。右耳の閉塞感は完全に消えた。
引き続き、同様のアプローチを行った。回数を重ねるごとに聴力は改善していき、閉塞感も薄皮が残った状態を経て、気にならなくなった。
7回施術を行い、聴力は回復し、耳の違和感はなくなった。仕事にも問題なく復帰できたため治療を終了した。
同時に治療した症状
肩こり 鼻つまり
使用した主なツボ
合谷LR 陰谷L 足三里L 膝陽関L
考察
発症から1週間と早いタイミングで来院出来たことが早期改善につながった。肩こりと鼻の状態を改善したことが、耳の回復を促したと考えられる。[KFAHC261229]
患者様の声
「治療する度に体がほぐれ、耳の聞こえや閉塞感も改善していきました。」
症例13 悪化と改善を繰り返す難聴が4回の施術で回復した例
患者
女性 50代
来院
2018年 3月
症状と来院理由
来院2ヶ月前、突然、右耳からエアコンの室外機のような音が聞こえてきた。
2日間様子を見たが、変化がないため耳鼻科を受診。
「突発性難聴ではないか」と診断を受ける。
ステロイドを3日間服用。耳鳴りは治まったが、その2週間後、再び耳鳴り。
同時に低音域の聴力低下(50dB)も起きた。
「低音障害型感音性難聴の可能性もある」と診断される。
再びステロイドを3日間服用。
2日で聴力は回復。
さらにその1週間後に低音域の聴力低下(40dB)があり、耳鳴りも再発した。
ステロイドで寛解するが再発してしまうため不安が大変強い。
根本的な改善を求めて来院。
治療内容と経過
初診
耳の症状には首の筋肉の緊張が関与していることが多い。
尋ねてみると「右に振り向くと、首が痛い」と言う訴えがあった。
それを手がかりにツボを選び、首~肩コリ解消を試みた。
2診目
耳鳴りは治まっていないが、初診翌日の聴力検査で聴力の回復を確認した。
2診目の帰宅直後から耳鳴りが強まる。
その後2日おきに耳鳴りがある日とない日を繰り返す。
3診目直後から大きめの耳鳴りが一日中なった後、消える。
4診目の2週間後に耳鼻科を受診。
聴力に問題がないことを再び確認。
その後耳鳴りは一度も出ないため、施術終了となった。
同時に治療した症状
なし
使用した主なツボ
後谿R 陰谷R 玉陽R
考察
低音障害型感音性難聴は症状の改善と悪化を繰り返すと言われている。
これは根本的な原因(耳周辺の血流の問題など)が残っているためと考えている。
発症の早期から鍼治療を受けることで、そのリスクを減らす事ができる。
[KUFKE170430]
症例12 発症5日の耳づまりと耳鳴が、4回の施術で回復した例
患者
男性 40代
来院
2018年5月
症状と来院理由
5日前、耳に水が入ったような感じがしたので耳鼻科に行くと「突発性難聴」と診断された。
プレドニン、五苓散、メコバラミン、アデホスコーワを処方される。
静かなところにいると、「ドッドッドッ」と車のアイドリングのような低音の耳鳴りを感じる。
さらにめまいも一時的に出たため「他にできることはないか」とネットで検索して来院された。
治療内容と経過
耳たぶの後ろのくぼみを押すと、耳鳴りが強くなる。手と足のツボに鍼をした直後に、くぼみを押しても耳鳴りが強くならなくなった。
2診目には耳鳴りとつまりが7~8割回復していた。耳に関係する頚の硬さが残っていたので、ふくらはぎのツボを使って解消させた。
3診目には耳鳴り、つまりともに消失。聴力検査の結果も回復していた。
念のためもう一度治療を行い、症状が出ていないことを確認し4回で終了した。
同時に治療した症状
なし
使用した主なツボ
養老R 玉陽R 築賓R
考察
発症5日で鍼治療を開始したことが早期回復につながったと考えられる。
また「突発性難聴」や「低音障害型感音難聴」などの病名に関わらず、耳の症状は耳周辺への血流を確保することが重要である。
そうすることで再発のリスクを下げることができる。
[KSMNK300530]
患者さまの声
「驚くほど肩と首の張りがなくなったのが分かり、すごくリラックスした時間をすごした。」
症例11 低・中音70dBが7回の治療で回復した例
患者
男性 20代
来院
2017年1月
症状と来院理由
来院1ヶ月前、突然グルグルするめまいが起きた。耳鼻科を受診すると薬を処方され、すぐに改善した。
来院2週間前、朝起きると右耳に耳鳴り(換気扇の音)がしたが、すぐに治まった。しかしその4日後、再び同じ右耳に耳鳴りが出現し聴力も低下したため会話ができなくなった。不安に襲われ耳鼻科を再診したところ「突発性難聴」と診断され、ステロイド点滴を始めた。
来院1週間前、ステロイド点滴後も聴力は回復せず、耳鳴りはだんだんひどくなった。そのため外部の音はほぼ聞きとれない。
突発性難聴専門の鍼灸院を検索する中で、当院の症例と出会った。
治療内容と経過
初診では通常の会話ができず、筆談にて問診をおこなった。1ヶ月前に起きためまいと突発性難聴が関係していると考え、めまいの原因にも考慮した施術を行った。すると、数日後にはドアを開け閉めする音を聞き取れるようになった。
一週間後には、駅のホームのアナウンスが聞き取れるまでに回復した。耳鼻科で聴力を測定すると、低音域が約50dB改善していた。
4回目の施術終には、テレビの音とイヤホンの音が聞こえるようになったが、換気扇のような耳鳴りが常に聞こえる。
7回目の施術後には、耳鳴も消失し、万全を期すためさらに2回の施術を行い、経過順調につき終了した。
同時に治療した症状
なし
使用した主なツボ
後谿R 大腰R 陰谷R 地天R
考察
発症から2週間と早いタイミングで鍼施術を受けたことが早期改善につながった。
また、今回のケースでは突発性難聴の前にめまいが起きていた。このめまいの影響を考慮した施術が功を奏したと言える。[KAMHA040129]
患者様の声
「治療開始後1週間ほどで少しずつ聞こえるようになり現在ではほぼ完治しました。」
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スタッフブログ「低・中音75DdBから回復した症例」
症例10 低音障害型難聴、音が反響してうるさい
患者
女性 20代
来院
2016年8月
症状と来院理由
1ヶ月前、耳が塞がるように感じ、耳抜きをしても治らなかった。
3日経っても改善しないため、病院で検査をすると「急性低音障害型感音性難聴」と診断され、ステロイド薬を処方された。
2週間経っても回復が見られないため入院。ステロイドの点滴を1週間行ったところ、耳の塞がり感のみ多少楽になって退院した。
その直後、熱中症になり耳の塞がり感が発症当時と同程度まで悪化。
来院時の症状は、右耳の聞こえが悪く小声で話されると聞きとれない。
また、音が反響する感じがありテレビがうるさく感じて疲れる、少しざわついたお店に30分といるだけでぐったりと疲れてしまう。
耳がふさがる感じと水が入ったような感じがあり、ボーっとした低い耳鳴りを常に感じている。
突発性難聴についてインターネットで調べ、鍼が効果的であることを知った。いくつかの突発性難聴専門の鍼灸院を見た中で当院を選んだ。
治療内容と経過
頚の右側に強いコリを確認した。そのコリが耳に悪影響を及ぼしていると考えて手と膝のツボから緩和をはかった。
初回の治療後、音が反響する感じとつまりが半減した。
その後、日によって波があるものの5回目の治療後には、音の反響が消えた。
8回目の施術中に歯ぎしりがあることがわかり、耳への影響を考慮して顎にアプローチした。
10回目には耳鳴りがあまり気にならなくなり、14回目には自覚による聴力の左右差もなくなった。
17回目にはつまり感も気にならなくなった。
大きい音を聞いた直後は、耳鳴りやつまりが多少気になるが、日常に支障なくなった。
同時に治療した症状
歯ぎしり(顎関節)
使用した主なツボ
後谿R T3(2)R 膝腰関R 膀胱兪R
考察
完全ではないが、日常生活に支障ないレベルに回復した症例である。頚のコリを緩めることによって血流が改善して耳の症状が改善したと考えられる。
また顎関節の問題があることがわかり、改善を促したことで聴力の回復が早まった。[KAFFA280816]
患者様の声
「薬ではどうにもならなかったものが、こんなにすぐに…」
症例9 頚のコリが原因だった耳のつまり
患者
男性 30代
来院
2017年12月
症状と来院理由
10月 鼻づまりがひどい風邪を引いた際、右耳がふわっと詰まった感覚があったが、気にとめていなかった。
11月 鼻づまりが治らなかったため耳鼻科を受診。
聴力検査で低音域に聴力低下が見られ、突発性難聴と診断された。
ステロイドを処方され、2週間服用。
聴力は回復したが耳閉感は消えなかった。
ステロイド以外に有効な治療手段を探す中で鍼灸を知る。
症例数の多さからカポスに来院された。
初診の問診にて、10月に耳が詰まった感覚が起こる前、頚に「ボコッとしたコリ」があったことを確認した。
来院時には軽減していたが「コリと耳の閉塞感に関連があるのではないか」「コリが再び大きくなったら突発性難聴が再発するのではないか」と不安を抱えている。
治療内容と経過
初診
患者本人の訴え通り、頚に「ボコッとしたコリ」を確認できた。
取り除くために、手と足のツボを使った。
すると「血流が良くなって耳が内側から痒くなるような感じがする」との感想を得た。
2診目
耳の閉塞感がほぼ消えたが、疲れた際に一瞬だけ感じることがある。頚のコリを完全に取り除くため、背中のツボを使った。
さらに耳の血流を改善させるために足のツボを使った。
すると、明らかに耳が赤く変化した。
3診目
症状は完全に消失したが、再発の不安を取り除くため同様の施術を行った。
合計3回で終了となった。
同時に治療した症状
なし
使用した主なツボ
合谷R 申脈R 光明R
考察
頚や耳の近くのコリは耳への血流を妨げ、閉塞感や聴力低下の原因となる。
今回は耳閉感を起こす数日前に、頚に「ボコッとしたコリ」があったと訴えていた。
コリを解消させて耳への血流を取り戻すことで、閉塞感の改善が見られた。
[KUMYM0112217]
症例8 自分の声が響く・こもる、三味線の音が金属音に聞こえる
患者
女性 60代
来院
2016年9月
症状と来院理由
趣味で三味線をやっている。8月下旬から三味線の弦の音が金属音に聞こえ、故障かと思い修理に出しかけていた。
9/6 朝起きると左耳が塞がる感じと「ザー」という耳鳴りを感じた。
慌てて耳鼻科を受診すると、聴力の低下が見られ「突発難聴」と診断された。
1週間のステロイド服薬を開始し、耳の塞がり感、耳鳴り、聴力は改善した。
しかし、耳・鼻・喉がつながる部分がいつも詰まった感じが継続している。
また自分で声を出す時に響く・こもる・三味線の音が金属音に聞こえるという症状が残り、他の治療を検討。
当院の「患者様の声」を見て来院。
治療内容と経過
問診で、鼻水が喉に流れる感じがあることがわかった。
鼻の状態の改善が大事だと考え、鼻に関係する頚・肩の箇所に触れてみると強いコリが感じられた。
そのコリを解消できるツボに鍼をしたところ、直後から鼻の通りが改善した。
1週間後の2回目の来院時、鼻の通りがよく3日間スッキリしていて、三味線が金属音に聞こえる症状は改善。
その後も、鼻の改善を試みる治療を継続し、4回目には全ての症状が消失した。
同時に治療した症状
なし
使用した主なツボ
合谷L 玉峯L 後谿L
考察
鼻の状態が悪く、耳の完全な回復を妨げていた症例である。
「突発難聴」と診断されると耳だけの問題と考えがちだが、視野を広げて関連する鼻に着目した事が、早期改善に繋がった。
今後も耳だけでなく、鼻などの耳をとりまく環境に着目しながら施術していきたい。
[KTFFA280916]
患者様の声
「『ほら、やっぱり原因不明なんてことはない!!』と嬉しくなりました。」
症例7 「ジー」とセミの鳴くような耳鳴と、耳のつまり
患者
男性 40代
来院
2015年11月
症状
2015年8月末、自宅で仕事をしている時に左耳のつまりを感じた。
またこの時から、時々セミが鳴くような「ジー」という耳鳴もするようになった。
2015年11月から、左耳のつまりと耳鳴がひどくなってきた。
仕事でストレスを感じると悪化する傾向にあり、夜になると1分間隔で「ジー」とセミが鳴くような耳鳴が強くなり、眠れない。
耳鼻科で聴力とめまいの検査をしたところ、聴力検査に異常なし。「メニエール病」の疑いがあると言われた。
処方されたストミンA(耳鳴の薬)を服用しているが改善せず。
ネットで検索をしていた時に「耳鳴に鍼が良い」という記事を見て来院。
治療内容と経過
問診時に、鼻づまりがあることが判明した。
耳のつまりと耳鳴の原因は鼻にあると考え、鼻に関する肘のツボと下肢のツボに鍼をして改善を図ったところ、施術後に耳鳴の「ジー」という音が静かになった。
回数を重ねるごとに耳鳴が止んでいる時間が増えていった。
3回目の施術で背中のコリを解消したら、夜間の耳鳴が無くなり、眠れるようになった。
その後も治療を継続し、6回目の来院時には左耳のつまりと耳鳴はほぼ消失した。
同時に治療した症状
なし
使用した主なツボ
肘涼L 膝陽関L 大腰L 六谿L T6(1)L
考察
慢性的な鼻炎が耳に影響して耳鳴りとつまりを引き起こしていた症例である。
鼻の通りを意識しながら、鼻と関係するツボを肩や肘に求めた。
問診で鼻の症状を事前に確認していたことで、触診では絞り込んで原因を探すことができた。
ストレスから耳鳴り・つまりが大きくなり、眠れなくなり、それがストレスになるという悪循環を断ち切れたことが早期回復につながった。
[KAMOS141115]
患者様の声
「ずっと続いていた耳鳴りが一旦止み、酷かった頭痛が治りました。」
症例6 突発性難聴が発症した翌日に来院し、1回の施術で劇的に改善した例
患者
男性 30代
来院
2015年 11月
症状
11月17日:朝は異変を感じなかったが、昼頃に仕事の用事で電話をかけた所、右耳が聴こえない事に気が付く。
夕方に地元の耳鼻科へ行った所「急性難聴」と診断。
「鼓膜に穴が開いている」と医師から言われる。
11月18日:東京医科大へ行きステロイドの点滴を受ける。
薬だけでは聴力が回復しない例もあることをインターネットで知り、不安にかられ突発性難聴を専門としている当施設に来院。
来院時は騒音のある場所に行くと、「ボー」っと音が反響しているような感じがする。
耳鳴りや耳のつまり感はない。
治療内容と経過
突然の聴力低下によって、耳のトラブルに特有なコリが右側の頚や肩に出現していた。
このコリを手や背中のツボを用いて解消するように仕掛けた。
すぐに目的のコリが8割程度消失したので、初回の施術を終えて右耳の聴力の回復を待つことにした。
2日後の聴力検査にて回復が見られた。生活では聴力の左右差を感じる事は無くなり、「ボー」という音も消えた。
その後、再発防止のために、3回の施術を行ってから治療を終了した。
同時に治療した症状
なし
使用した主なツボ
中渚L T5(1)R 地天R
考察
難聴が1回の鍼治療で劇的に回復した症例である。
劇的回復の主な要因は、鍼治療を開始したのが発症の翌日だった事である。
難聴の治療は、発症から早ければ早いほど早期回復が見込める。
病院での治療を一通り経てから来院される方が多いため、このような好条件で治療できる機会は多くない。
こうした症例を通して、早期治療における鍼治療の有効性を再認識できる。
音を取り戻す喜びを患者さんと分かち合える瞬間は幸せである。
1人でも多くこの喜びを共有できるように日々施術に励みたい。
[KMBS181115]
患者様の声
「重度の難聴と診断されていた右耳が30dB近くまで改善していました。」
症例5 常に耳鳴りがあり、補聴器なしではスムーズな会話が難しい
患者
女性 60代
来院
2015年5月
症状
2010年に友人と会話している時に「耳遠くなってない?」と指摘を受け耳鼻科へ行った。
左右ともに40~50デシベルで加齢による老人性難聴と診断され、治療法はないと医師から言われる。
2014年にフラフラするめまいがあり、耳鼻科を受診。メニエール病ではないと言われたが、聴力は40~50デシベルで2010年と変わらなかった。
姉妹院の「養気院」に通院している姉から評判を聞き、当施設に訪れた。初めての来院時には補聴器が無いとスムーズな会話が難しく、耳鳴りもあった。
両方の耳からは「ジー」というセミの音、右耳からは「カンカン」という音がする。
補聴器をつけている時は耳鳴りは気にならないが、補聴器を外すと常時聞こえる。
2015年2月に咳が出始めて徐々に鼻づまりの症状も出現したため、耳鼻科を受診し副鼻腔炎と診断された。
治療内容と経過
肩こりの自覚症状はなかったが、左右の頚や肩に難聴の人特有のコリが確認できた。
頚肩コリが耳の栄養を妨げていると考えたそのコリを取るために手足に鍼をしていった。
また、鼻づまりがあると耳の回復を妨げるため鼻の治療を並行して行った。
左右を比較すると右側のコリが強かったため、右を集中的に治療した。2回の治療で鼻声が無くなり、鼻づまりが和らいだ。
12回の治療後の聴力検査で右耳の聴力が正常範囲まで回復していた。右耳は補聴器を外して生活できるようになった。
耳鳴りは音が小さくなり、1週間の内で耳鳴りを感じない日が半分になってきた。
同時に治療した症状
副鼻腔炎(蓄膿症)
使用した主なツボ
大臀LR 地天LR
考察
補聴器なしで生活出来るようになった症例である。
耳周辺の緊張だけでなく、副鼻腔炎による鼻づまりを解消した事が聴力回復に繋がったと考えられる。
病院で「老人性難聴」と診断され、なおかつ聴力低下から5年以上経過している状態は、多くの場合で改善の可能性が低い。
にも関わらず、補聴器なしで生活出来るまでに回復したことは大きな成果と言える。[KTFKM0526]
患者様の声
「12回の治療が終わって3回目の聴力検査で驚く程の良い結果が出ました。」
症例4 突発性難聴を発症してから音がこもる感じがあり、寝つきが悪い
患者
男性 40代
来院
2015年6月
症状
5月11日に右耳に耳鳴り、つまり感が発症する。
5月15日に近くの病院で聴力検査をし「突発性難聴」と診断された。ステロイドとビタミンを処方され内服を開始。
5月18日に東京女子医大へ行き、再び聴力検査をすると、低音域が40dB(デシベル)まで低下していた。
5月25日の聴力検査では低音が50デシベルまで下がっていた。ここでステロイドの服用を終了した。その後は利尿剤とビタミンの薬を処方され服用。
インターネットで鍼灸治療が突発難聴に有効である事を知り、自分の症状に合う治療法だと思いカポス(当院)を選ぶ。6月5日に来院。
来院時は耳がこもっている感じが常時あり、会社のコピー機の音が雑音に聞こえストレスを感じていた。耳鳴りは治まっていた。
仕事で人と話す機会が増えるとストレスを感じたり、寝付き悪くなると、耳の症状が悪化する。
片耳ずつ聴こえをチェックすると左右差を感じる。
治療内容と経過
耳のこもった感じは耳だけだけでなく、鼻や喉の影響を考慮しなければならない。
喉まわりの緊張を調べた所、右側にコリが認められた。これを解消するために手足のツボに鍼をした。
ただ、寝つきの悪さが解消されず、時には寝付くまでに2時間かかる事もあるため、睡眠へのアプローチも3回目以降に追加した。
その結果、4回目には寝付きの悪さ、耳のこもった感じがほぼ消失した。
その後は耳と体調を安定させるために数回来院し、聴力は左右の耳で差がなくなるまで改善。
同時に治療した症状
不眠(寝付きの悪さ)
使用した主なツボ
合谷R 中渚R 陰谷LR
考察
喉の状態が耳に影響し、さらに睡眠不足(寝つきが悪い状態)が耳の回復を妨げていた症例である。
耳に固執して治療するのではなく、視野を広げて診察した事が改善に繋がった。また、睡眠の重要性を再認識した例でもある。
睡眠が上手く取れないと耳の回復が遅くなってしまうため、不眠を解消した事も良かった。
今後も、耳の周囲に目を奪われることなく、その他の不調にも耳を傾けていくことで確かな改善を目指したい。[KMKK050615]
患者様の声
「頑固な先生が一方的に治療を行うのではなく、対話のなかで臨機応変に対処していただいた。」
症例3 「ブチッ」と弾けるような音がしてから、耳のつまり・難聴・耳の痛みに悩まされている
患者
女性 20代
来院
2015年7月
症状
今年(2015年)2月から転職し、コールセンターで働いていた。
2月半ば、電話対応中に「ブチッ」と何かが裂けるような音を感じ、左耳の奥がヒリヒリと痛むようになった。
翌日、その痛みのまま仕事を続けていたが耐えられなくなり早退。その後も職場に復帰できず、そのまま辞職した。
3月末までの1ヶ月間静養したところ次第に痛みは治まった。
4月に事務の仕事に転職。6月の半ば、電話を1日に何度も受けていたら、左耳にだんだんと痛むようになった。
その翌日から、耳の穴の中に水が詰まった感覚が生じ、扇風機の羽が回る「ブォォォ〜」という音(中音)が聞き取りにくくなったため、耳鼻科を受診。
聴力検査を受けたところ、「左耳」が難聴と診断された。
医師が処方した薬を飲んでも改善しないため、何かできることはないかとインターネットで検索し当院を見つけて来院された。
治療内容と経過
アレルギー体質で通年性の鼻炎があり、口呼吸が当たり前になっていた。さらに、常時感じている肩こりもあった。それぞれ、耳の聞こえに関係あるとして重要視した。
その上で治療を行うと、初回の後から耳が暖かく感じ、痛みや詰まり感も少なくなった。
しかし、その翌日、仕事で電話応対を多くしていたところ、痛みがぶり返したため職を辞めた。
耳の負担が減ったことが幸いし、治療の効果が持続し、耳の状態が安定するようになった。
耳鼻科でも鼻炎の治療を行ったが、当院でも鼻炎を軽くすることを強く意識して治療を行った。
その結果、5回の治療で痛みとつまり感が消えた。
同時に治療した症状
鼻炎
使用した主なツボ
足三里L 大腰L 玉峯L 内谷L 下おろしL 鼻涼L
考察
鼻炎が耳に影響し、聴力低下、耳閉感、そして痛みを引き起こしていたと考えられる症例である。
耳に負担のかかる仕事を辞めたこと、そして、鼻炎を軽減させる手段を講じたことが良い結果に結びついた。
耳を治すには、良い治療を受けることも重要であるが、そのいっぽうで生活環境も改める覚悟も必要だと痛感した症例である。
[KFUE270715]
症例2 音がほぼ聞こえないレベルの突発性難聴が、2回の施術で回復した例
患者
男性 40代
来院
2015年4月
症状
3/11の昼に眩暈(めまい)、右耳から耳鳴りが起きた。翌日に病院で聴力検査したところ、右耳の低音域が低下していた。
3/14の朝には右耳が全く聞こえなくなり、「ザー」と強い耳鳴りが鳴るようになった。再び病院に行くと、ステロイド点滴を受けることになった。
しかし、3/16にはさらに聴力が低下していたため、別の病院に入院することになった。
3/31に退院をしたが、病院の治療だけでは不安に思い、インターネットで治療法を探していたところ鍼灸治療の事を知った。当施設のウェブサイトを訪れたところ、症例ページの記載が詳細であったため、4/1に来院。
初診時は低音域の難聴、耳鳴り、耳のつまり感。耳鳴りは「ボー」や「キーン」という音が一日の中で繰り返され、絶えず鳴っている。大きい音を聞くと音が反響してしまい、耳が痛く感じる。
また、自分の声も響いてしまうため人と話をする時は右耳を塞がないといられなくなる。
治療内容と経過
耳のトラブルに関係が深い頚や肩の筋肉に触れてみると、難聴・耳鳴りのある右側に強いコリが認められた。手足や背中のツボを用いて緩解させるように努めた。
結果、2回の治療で聴力が大幅に回復し、健常レベルまで回復した。耳鳴り、耳のつまり感が多少残ったので、その後の施術により改善を図った。
同時に治療した内容
なし
使用した主なツボ
承扶R L2(2)R 下おろしR 六谿R
考察
2回の治療で聴力が完全に回復した症例である。
耳周辺のツボに固執することなく、広い視野で身体を観察した。腰や脚から生じる頚肩部の緊張と、手から生じる頚肩部への緊張が最終的に耳周辺に及んでいたと考えた。このような考えでツボを選んだ。
ツボの選択が妥当であったと言えるが、「発症から1ヶ月」という好条件が重なったことが、このような結果につながった要因である。
この改善例は、経験の中でも強く印象に残るものである。常にこのような結果が得られるのが理想である。[KMKT280815]
患者様の声
「たった2回の治療で聴力が通常範囲に回復したのです。これはまぎれもない事実です。」
症例1 耳鳴と耳の重さがあり、寝不足が続いている
患者
女性 40代
来院
2015年3月
症状
3月中旬、鼻水・鼻つまり・目のかすみを感じるようになり、3月末には同症状のほかに左耳に「キーン」という高い耳鳴りと左耳の重さが出現した。
耳鳴りは、就寝前の静かな時間帯が最も気になり、寝つきが悪い。それに伴い寝不足が続いている。聴力に異常は感じていない。
前年の11月に寒暖差アレルギーによる鼻炎治療を行い改善したことから、耳鳴りの相談を受けた。
治療内容と経過
3月中旬に起きた鼻の症状と、今回の主訴である耳鳴りには深い関係があると考えた。
日常生活で聴力に異変を感じていないことから、耳に影響を及ぼす筋肉の過緊張を緩めて改善を図るにした。
特に、肩甲骨周りの異常緊張が引き起こしている可能性が高いと考えた。
そこで、手足と腰のツボを中心に肩甲骨周りを緩める治療を行うことにした。
すると、5回目の施術で、耳の重さが消え、耳鳴りに変化の兆しが表れた。
音は感じるものの、遠くで鳴っているような感じになった。次第に寝つきも良くなり不眠が解消した。
10回目の施術時には、耳鳴りは気にならない程度までに軽減。ただ、鼻水と鼻つまりが若干残っていたため、そこから5回の施術を加えた。
その結果、耳鳴り、鼻症状、不眠のすべての症状が消失した。
同時に治療した症状
鼻つまり、肩こり、不眠
使用した主なツボ
下おろしL 裏宮L 外秩辺L 膝陽関L 腎兪LR
考察
この耳鳴りは、筋肉の過緊張のほか、鼻水と鼻づまりが関係していたケースである。
鼻の治療を同時に行う必要があった。不眠は耳に悪影響を及ぼすが、その不眠を早い段階で解消できたことが改善を加速させ、好循環につながったと言える。
この症例では、聴力に自覚する低下が見られなかったので聴力検査をしていなかった。安心材料を増やすために検査を勧めてみてもよかったかもしれない。
[KFMA151503]
患者様の声
「夜もよくねれる様になり、本当にありがたく、感謝の気持ちでいっぱいです。」