バルセロナ鍼灸セミナー ~スペイン語のテキスト作りの裏側~
養気院勤務の光山です。
※養気院はカポスのオーナー・栗原が院長を務める群馬の鍼灸院です。
今回、オーナーの栗原がスペインで講師を行なうため、海外版へ翻訳するためのテキスト作成を行いました。カポスの坂口と共同作業です。
養気院のアトリエでどんなテキストにするか、セミナーをどう進めるか打ち合わせを行いました。
海外でセミナーを行うのは、今回が初めてです。スペインの活躍する鍼灸師は、どんな技術を求めているのだろう?そのためには、スペインで行われている鍼灸はどういったものか知る必要があります。下調べからスタートしました。
スペインの施術スタイルは中医学
鍼灸治療は考え方によって施術スタイルは様々です。今回セミナーを行うスペインの学校では、中医学の考えがベースです。
中医学とは、中国で行われている伝統医学のことです。病気や局所的な症状を見るのではなく、身体全体を観察し、1人1人の体質を考えて、施術を行ないます。鍼灸や薬膳などを用いて施術を行い、内臓の機能を高めることにとても優れています。
その一方、痛みやコリに対しては、身体全体を観察することよりも、局所的なアプローチで対処することがほとんどです。痛みやコリに対しては肩なら肩、腰なら腰といったように局所的に鍼をすることで鎮痛効果を狙います。
そのため、局所的な鍼で効果がなかった場合、打つ手がなく困ります。そんな時は別の方法が欲しくなります。きっとスペインでも同じ問題にぶつかっているはずです。
「痛みやコリに対してアプローチする方法」を中心にカリキュラムを組み立てることにしました。カポスと養気院で使っている整動鍼は中医学にない方法がたくさんあります。それでいて中医学と矛盾しません。
選んだテーマは、肩こり、肩痛、腰痛、膝痛です。
スペイン人は日本の鍼灸をどう思っているのか
日本の鍼灸はどう見えているのか。世界で見れば鍼灸の本場は中国です。スペインでも中医学を学んでいる方が多く、「日本の技術は学ぶ価値があるのか」、「そもそも何ができるのか」という疑問をまず解決しないといけません。
この疑問を解決し、興味を持ってもらうにはどうすればいいのか・・・考え出した結論は、技術を体験してもらうことです。
セミナーにおいて技術を体験してもらうのは一番の山場であり見せ場です。
これから学ぶ技術でこんなことができます!とまず体感してもらうことで、興味を持ってもらい、勉強する意欲を高めることができるはずです。
治療の効果が出るか出ないかで、受講者のセミナーを受けるテンションに影響を及ぼすのは、明らかです。
スペイン版テキストに求められるもの
テキストは、日本でも行っているセミナーの内容を元に作りました。特徴や理論などまとめられてはいますが、あくまで日本用のテキストです。
日本語版のテキストを英語に翻訳してからスペイン語に翻訳する2段構え。英語への翻訳は、外国人の患者さんが多い鍼灸院で活躍されている日本の鍼灸師にお願いしました。そして、英語からスペイン語への翻訳は、スペインの鍼灸学校で働くフランシスさんにお願いしました。
曖昧な表現や日本独特な表現は翻訳がしづらくなるので、テキストの文章はシンプルな表現を心がけました。テキスト作りで最も難航したのがこの作業です。
何度も何度も議論を重ねながらテキスト作りを進めました。この作業は、技術をさらに深く理解する必要があり何度もテキストを読み返しました。
和鍼は日本独自のもの
直前になって追加した資料があります。
鍼の使い方です。
鍼はどこでも同じではありません。
スペインでよく使われているのは、「中国針」です。鍼が太く刺激量が強いのが特徴です。ブスッと刺すような感じです。鍼を受けたことのない人には、鍼といえばこの中国針をイメージする人が多いかもしれません。
日本の鍼は、「和鍼」と言われる、細くしなやかな鍼です。刺激量も少なめです。鍼管という管を使って鍼を行います。トントンと鍼を叩き、弾ませるように入れます。スペインの方にとって馴染みのないものだと思い準備しました。
完成したスペイン版テキスト
初めて作った海外版のテキスト、スペインの受講者にうまく伝わるかドキドキでした。
結果は・・・
大成功!
セミナーの初めに技術を体験してもらい、興味を引くことも大成功!受講者の期待を遥かに上回り、「こんなにエキサイティングで楽しかったセミナーは初めてだった」と感じてもらえたようです。テキストも内容、ボリュームともに好評で安心しました。
大勢の受講者に、もっと整動鍼を学びたいと感じてもらえ、言うことなしです。
詳しい内容は、カポス院長の秋澤のスペイン講師日記に書いてあります。
はりきゅうルーム カポス姉妹院=養気院(鍼灸師)
群馬県にある養気院で、カポスと同じ鍼灸の技術を用いながら日々臨床に励んでいます。1つ1つ明確な変化を出すツボの可能性に魅了され、生まれ育った大阪を飛び出しました。
群馬の魅力も開拓中です。
・活法研究会 講師候補
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