走り方の癖は連動を観るとわかる
養気院勤務の光山です。
※養気院はカポスのオーナー・栗原が院長を務める群馬の鍼灸院です。
カポス・養気院で使われている整動鍼を深めるため、診療後の時間を使い実技練習を行っています。
今回は、オーナー栗原の息子であるクリ太くんを治療することになりました。小学校の運動会でのクリ太くんの徒競走の走り方を修正するためです。
速く走ることへの憧れ
クリ太くんは徒競走が大好きで、クラスの中で一番速く走ることを目標としていました。今回の運動会も気合いが入っていました。
運動会が終わって、その時の走り方を動画で確認すると、走り方に癖があることに気付きました。左腕は真っ直ぐ腕を振れているのにも関わらず、右腕が前後に真っ直ぐ振れず、右肩が内側に入った状態になっています。
一緒に動画を見ていたクリ太くんも「僕こんな走り方してるの!?」と自覚がない様子。
施術室に入って「どっか痛いとこある?」と尋ねると、「どこも痛くない。」とのこと。無意識でそういう体の使い方しているようです。
「これじゃ速く走れないよ~」と、父である栗原に言われると、
「治したらもっと速く走れるようになるの!?」と、眼をキラキラさせていました。
癖の原因を探る!
研修を兼ねているので、私が診ることになりました。
さて、どこをチェックしようか…
初めに目を付けたのは、肩の前後の動き(屈曲と伸展)です。
走る際に、真っ直ぐ腕を振れないのは、肩をそもそも挙げにくい(バンザイをする動きができない)と考えたからです。実際に肩を上げる動作をしてもらうと、多少左右の挙げる角度に差はあるものの、特に問題ないように思えました。
次に考えたのが、肩が内側に入っているという問題から、肩を外に開くこと(外旋)がしにくいと考えました。
胸を張ることができないため、肩が内側に巻き込んだ形になっていると考えたのです。動作チェックを行うと、左右の可動域に差がありました。本人に確認を取ると、右肩の方が動かしにくいようです。
ここを修正しようと、胸椎を触診してみると、想定した通り反応がありました。ツボに触れると、こそばいようで中々じっとしてくれません。
※関西では,くすぐったいをこそばいと言うのですが、方言だということに初めて気が付きました
それならばと、胸椎を調整できる足首のツボに鍼をしました。
クリ太くんに同じ動作をしてもらうと、「さっきより動かしやすいー!」とよい反応。
「よかった~」と一安心していると、一つの疑問が出てきました。
果たしてこの調整だけで、走り方の癖が消えるのか…。
体全体の動きもイメージする
肩の動きはさっきよりよくなりましたが、それだけではない気がします。
もともと、本人には身体の痛みや動きに自覚がありません。走ってもらおうにも外は雨。断念しました。
途方に暮れそうになり、ふと栗原の顔を見てみると、
「次は体全体の動きをイメージしてみようか。ところでお尻の緊張は確認してる? 緊張していたら脚はどうなる?」
はっ!と気が付き、「外旋します!!(つま先が外に開く動き)」
その状態で走ると、体が外側に傾いてしまいます。今回は右のお尻の緊張のため、右側に倒れるような形になるのです。体はそれを倒れまいとしようと、上半身で補正します。クリ太くんの身体はまさにその補正を右の肩を内に入れることで行っていたと考えられます。
偶然ではなかった手の力み
お尻の筋肉の緊張を緩めるために、右手の甲に鍼をしました。すると、お尻の緊張が取れ、脚が軽くなったようです。
手の甲のツボを使ったのは偶然ではありません。改めて走った時の動画を確認してみると確かに手が力んでいます。
体の動きは連なっているのだと再確認することになりました。
治療を終えると、父の栗原からアドバイスを受けていました。
「今度走るときは、卵を持つような感覚で手をリラックスして走るといいよ~。」
「はい!」と頷いていたので、来年の運動会が楽しみです!
はりきゅうルーム カポス姉妹院=養気院(鍼灸師)
群馬県にある養気院で、カポスと同じ鍼灸の技術を用いながら日々臨床に励んでいます。1つ1つ明確な変化を出すツボの可能性に魅了され、生まれ育った大阪を飛び出しました。
群馬の魅力も開拓中です。
・活法研究会 講師候補
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