舌下免疫療法
舌下免疫療法とは
舌下免疫療法とは、病院で受ける治療法でありアレルゲン免疫療法の種類の一つで減感作療法とも呼ばれています。アレルギーの原因と言われる物質(アレルゲン)を少しずつ体内に入れ、体の過敏な反応を減らしアレルゲンに慣れさせていく治療法です。海外ではスリット(SLIT)減感作療法とも呼ばれています。
アレルゲン免疫療法は、舌下免疫療法と皮下免疫療法に分けられます。舌下免疫療法は体の中にスギ花粉を含むエキスを舌の下に入れて、体内に注入していく療法です。皮下免疫療法は、花粉エキスを注射をすることで体内に注入していきます。アメリカではダニアレルギーの治療でも一般的になっています。
アレルゲン免疫療法 | 舌下免疫療法 | 舌の下に入れる2分間待つ |
皮下免疫療法 | 注射で体内に注入する |
2014年 「シダトレン」が保険適応に
現在、皮下免疫療法は保険適応、舌下免疫療法は非保険適応となっており、金額に開きがあります。しかし、2014年1月に鳥居薬品株式会社から出ているスギ花粉薬「シダトレン」が日本国内での製造販売承認を取得しました。薬価金額を協議中ということですが、2014年夏以降に販売開始になるとのことです。
舌下免疫療法の非保険適応金額では年間6、7万円の負担と言われています。今後金額を決定することとなりますが、現在の医療保険3割計算で2万円前後になるのではないでしょうか。
知っておきたい特徴
舌下免疫療法を受けるにあたって、知っておいた方がよいと思う特徴をあげていきます。
メリットやデメリットなどを始める前に知りたい情報を記載します。
手軽さ
皮下免疫療法では毎日1回、自宅で舌の下に含み2分間待つだけです。あまりにも簡単なので「これで良くなるの?」と思うかも知れません。たったこれだけで薬が不要になる可能性があります。また、症状が完全に抑えられない場合でも、使用している薬の量や程度が減らせることが期待出来ます。医師による治療のなかではアレルギーを「治す」という目的に一番近い治療法です。
また皮下免疫療法に比べ、病院にいく回数が減らす事ができます。いままで皮下免疫療法は初めて数ヶ月は1週間に1回注射を受けていたところを、舌下免疫療法では月1回の受診で済みます。ただし、定期的に採血と皮内検査を行うために全く注射をしないという訳ではないようです。
※注意点
2014年、保険適応後、初めてのシーズンはシダトレンという薬が新薬扱いになります。そのため2週間分しか薬を出す事が出来ないのです。つまり、頻繁に病院に行かなくて良いという利点が保険適応の初年度に関してはあまりありませんので注意しましょう。
効果
治療を開始した1シーズン目から効果を感じている方もいるようです。症状は4大兆候といわれる「くしゃみ・鼻水・鼻づまり・目のかゆみ」に効果的です。2、3年継続することでほぼ症状が出ない方も出て来ています。また、治療中でも花粉症の薬を服用する事が可能です。
2、3年投与後に期待される効果を下記にあげておきます。実に7〜8割の方が効果があると答えたそうです。
・1割の方は、ほとんど症状がでなくなった
・5割の方は、症状が半分程度になった
・2割の方は、症状が軽くなった
・2割の方は、ほとんど症状が変わらなかった
また舌下免疫療法で使用する「スギ花粉薬 シダトレン」は、名称の通りスギ花粉に対する薬になります。当たり前ではないかと思うかも知れませんが、「ヒノキ」花粉症や寒暖差アレルギーにはあまり効果が見られませんので注意してください。
カポスの治療はこちら≫花粉症のメカニズムへ
治療頻度と期間
治療は最低2年間程度、毎日1回の継続投与が必要になります。1~2週目は少しずつ投与する量を増やしていき、3週目以降は一定量を維持して投与していき、症状が安定するまで行います。だいたい3年、長い方で5年ぐらいやられる方もいるようです。
現在のスリット減感作療法では、月1回の受診で1ヶ月分の処方をしてくれます。しかし保険適応にあたり、シダトレンは新薬扱いになるので初年度は2週間に1回の受診と2年間服用が義務づけられております。さらに保険適応にあたり、様々な検査や採血も頻繁に行われるようです。
実際に始めにられた方の実に70%の方が途中で断念しているそうです。辛い時は覚えているが、何も無い時期に続けるというのは思っているより辛い事のようです。
副作用
舌下免疫療法の副作用は、皮下免疫療法に比べ重篤な報告は少ないようです。
軽度 | 口腔内のかゆみ、くちびるの腫脹、のどの刺激感など |
重度 | 喘息発作、消化器症状、腹痛、嘔吐、アナフィラキシーショック |
※アナフィラキシーショックの症状
・口や手足のしびれ、じんま疹(しん)、冷や汗
・症状が進むと脈が弱くなり、血圧が急激に低下してきます。
・さらに放置すると呼吸困難、チアノーゼ、意識を失うといった強烈な反応が現れます。
花粉が終わってからが治療開始
アレルゲン免疫療法は、少しずつ体内に投与して体に慣らしていく必要があります。効果を感じるまでには最低3ヶ月時間がかかります。スギ花粉が飛んでいる時期は、体がスギ花粉アレルゲンに対して敏感になっているため新しく治療を開始することは出来ません。
治療開始1シーズン目に効果を期待すると、例年花粉が2月ごろには飛び始めますから遅くても11月までには開始する必要があると思います。
治療不適応な方
以下の方は治療を受ける事ができませんので注意が必要です。
・妊娠されている方
・喘息、気管支ぜんそくの症状が強く出ている方
・重症の口腔アレルギーの方
・抜歯後の口腔内の術後、傷や炎症などがある方
・ステロイドや抗がん剤、β阻害薬使用など特定の薬を使用されている方など
・12歳未満の方
年齢制限は海外では5才以上とありますが、日本では12才以上が対象になっているようです。
上限はなく、年配の方も対象となります。
治療出来る病院
これから保険適応になる「シダトレン」ですが、どこの病院でも大丈夫というわけではありません。
減感作療法に関する十分な知識・経験を有し、薬のリスクについても管理・説明ができないといけません。つまり、所定の講習を受け、登録された医師のいる病院でのみ処方することが出来ます。
注意点
・市販の薬局などでは購入できません
・副作用などを発症した時に、いままで処方していただいていた耳鼻咽喉科や皮膚科では治療を受けられない可能性があります
まとめ
アレルゲン免疫療法 | カポス式治療 | ||
名称 | 皮下免疫療法 | 舌下免疫療法 | カポス式花粉症治療 |
治療法 | 皮下に注射 | 舌下に投与 | オリジナルツボにシール鍼+鍼 |
頻度 | 週1回(徐々に間隔を開けていき、最終的に月1回) | 毎日1回(2年以上継続する) | 週2回 |
期間 | 最低2年 | 最低2年 | 平均2ターム(10回) |
対応アレルギー | ・スギ花粉
・ハウスダストなど対象となるアレルゲン1つ |
熱理論のため、アレルギーは問わない | |
非対応アレルギー | ・アレルギー反応がないもの
・寒暖差アレルギー ・ヒノキ花粉 |
なし | |
年齢制限 | 不明 | 国内は12才以上 | なし |
適応外な方 | ・妊娠されている方
・喘息、気管支ぜんそくの症状が強く出ている方 ・重症の口腔アレルギーの方 ・抜歯後の口腔内の術後、傷や炎症などがある方 ・ステロイドや抗がん剤、β阻害薬使用など特定の薬を使用されている方など
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妊娠16週〜35週以外の方。
(ただし副作用の問題はないので、往復の移動に負担がなければお受けできます) (その他のQ&Aはこちら≫カポスQ&Aへ) |
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メリット | ・症例数が多い | ・自宅で出来る
・皮下免疫療法より副作用の報告が少ない |
・体質改善により根本解決を狙える ・症状が出てからでも大丈夫 ・クスリを使わないから副作用なし ・目の症状にも対応できる ・アレルゲンの種類は問わない ・幼児からでも出来る ・2〜3タームで症状が8割程度楽になる |
・保険適応
・半数の方が症状が半分以上軽くなる。 ・1〜2割の方は症状がでなくなる |
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デメリット | ・副作用の可能性あり
・注射につき痛みを伴う ・始めてから半年間は1週間の通院が必要 |
・保険適応になった1年間は新薬扱いになるため2週間に1回の通院が必要
・2年間毎日実施しなくてはいけない |
・治療期間は週2回通院する |
・症状が始まる3ヶ月以上前に始めないといけない
・対象のアレルゲン1つにしか効果がない ・2割の方は症状が何も変わらない
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※アレルゲン免疫療法について興味がある方は、病院にお問い合わせをしてみてください。