レーザー治療(鼻粘膜焼灼術)
当院は鍼灸院ですが花粉症治療を専門としているため、レーザー治療に関するご質問もよくお受けします。
みなさまの理解の一助としてこのページを設けていますが、当院ではレーザー治療は取り扱っていないことを念のためお断りします。
レーザー治療(鼻粘膜焼灼術)を受ける前に知っておきたいこと
レーザー治療の安全性と値段
安全性が高く、現在ではさまざま医療機関で使用されています。医療保険が適用され、3割負担の方で約1万円前後になります。再治療は何度でも可能です。
痛みや出血はあるの?
痛みや出血は多少ありますが感じない人もいます。手術の前に麻酔薬を含ませた脱脂綿を15分ほど置き、麻酔が効いてから手術を開始していきます。
どのくらい効果があるの?
効果には個人差が大きくでます。よく効き症状がすごく改善された例もあれば、全く効かずなんの変化もない人もいます。何かしらの変化を感じた方は全体の約80%で、顕著に効果を感じた方は約30%~40%います。また、効果は半永久的ではなく、一度レーザー治療を行うと半年から2年ぐらい効果が続くとされています。
注意として術後1週間は症状がひどくなります。約1ヶ月かけて徐々に粘膜が再生されてくると効果がわかるようになってきます。
いつ手術するのがいいのか?
レーザー治療はシーズンの1~2ヶ月前の期間しか行うことが出来ません。症状が出る1、2ヶ月前がよい頃と言えます。
症状が出て鼻粘膜が濡れている状態になってしまうと、レーザーでしっかりと焼く事が難しくなってきます。
レーザー治療に適している人いない人
レーザー治療は全ての鼻炎症状に効くわけではありません。
レーザー治療には適している人と適していない人がいます。適していない人がレーザー治療を受けてしまうと、思うような効果が得られなかったり逆に悪化してしまうケースもあります。
適している人
・アレルギー性鼻炎(花粉症・慢性鼻炎)で特に鼻づまりがひどい人。
・薬を服用すると強い副作用が出てしまう人。
・薬が服用できない人。
・妊娠中や授乳中の人。
・小学生や中学生の人。
・長期通院が難しい人。
適していない人
・くしゃみ、鼻水、鼻づまり以外の目、喉、肌に症状がある人。
・慢性副鼻腔炎を併発している人。
・鼻中隔湾曲症の人。
レーザー治療とは
レーザー治療と聞くとシミを消したりする美容整形の分野でよく耳にします。最も使われている炭酸ガスレーザーはシミやほくろを除去するレーザーと同じものでそれを鼻にも使用しています。
人間の鼻には左右に上鼻甲介、中鼻甲介、下鼻甲介の3つの粘膜層があります。そのうち外気と接するのは下鼻甲介で鼻の穴を覗くと見える所です。そこにアレルゲンが付着して過剰な免疫反応を起こすとアレルギー症状が出ます。その粘膜を焼き粘膜の体積を減らし、アレルギー反応を抑えるのが目的になります。
鼻粘膜にレーザーを照射して粘膜(下鼻甲介)の表層を蒸散(水分と一緒に蒸発)させ、過敏になった粘膜の感受性を低下させます。感受性が低下した粘膜では花粉やハウスダストが反応しづらい状態になります。また焼灼により鼻粘膜の体積が減少するので鼻が通りやすくなります。
おおむねこのような内容で症状改善を狙っていっています。
事前に、鼻水の好酸球検査、採血による抗体検査、抗原エキスを鼻粘膜に付けて反応を見るパッチテスト、副鼻腔炎がないか調べるX線検査などを行います。
炭酸ガスレーザーの方法
1.麻酔薬を含んだ綿を鼻の中に入れ10分~15分放置します。
2.鼻粘膜の表面に麻酔が効いてきたら綿を取り出します。
3.細いパイプ状の器具を鼻の中(下鼻甲介)に入れレーザー光を粘膜に照射します。
4.両方合わせて5~10分ほどで照射は終わり、手術終了です。
少しチクチク感じる人もいるようですが、麻酔を追加する程の痛みはありません。出血はほとんどありません。粘膜を照射する際に少し焦げたようなにおいがします。
手術当日に鼻を強くかむと出血しやすい可能性があります。
治療後7~10日は症状が一時的にひどくなることがあります。かさぶたができている約1ヶ月程の間鼻づまりがひどくなる場合もあります。
レーザー治療を受けるタイミング
花粉症の症状が出てしまってからではレーザー治療は向いていません。なぜなら症状が出ている状態だと粘膜に水分を多く含んでいるので、しっかりと焼くことができないからです。花粉が飛び始める1~2ヶ月前ぐらいが適切なタイミングと言えます。
レーザー治療のメリット
・薬(内服薬、点鼻薬)でコントロール出来ない場合、薬が飲めない場合、鼻粘膜の腫れが高度となりむくみがもとに戻りにくくなってしまった場合に効く。
・鼻詰まりに効果が高い
・再治療は何度でも可能
・小学校高学年くらいから可能
・安全性は高い
・妊娠中、授乳中の方でもできる
・医療保険適応
・効果は約80%にある(著効30%~40%)
・治療時間が短い(片側3~5分)
レーザー治療のデメリット
・痛みがまれにある
・鼻水、くしゃみには効果がでにくい
・効果に個人差が大きい
・アレルギー体質が治るわけではない(対症療法)
・術後2、3日~1週間は症状が一時的に悪化する
・1ヶ月ぐらいで効果を感じ始める
・花粉症では毎シーズン治療を追加するケースが多い
・小学校低学年以下は受けられない
・嗅覚に影響が出る人もいる
・症状が出てからだと手術不可(1ヶ月前に受けなくてはいけない)
カポス式花粉症治療とレーザー治療に比較
カポス式花粉症治療 | レーザー治療 | |
目的 | 根治(体質改善) | 対症療法 |
副作用 | なし | 嗅覚の異常など出る場合もある |
眠気 | なし | なし |
痛み・出血 | 完全無痛 | 多少ある |
費用 | 1ターム 20,000円 | 約1万円前後(3割負担) |
通院回数 | 平均2~3ターム | 2~3回 |
適している症状 | 鼻炎からくる全ての症状 | 鼻づまり |
適していない症状 | なし | 目、喉、肌の症状 |
適応年齢 | 小学生から可能 | 小学校高学年から可能 |
治療時期 | 症状が出始めてからでも大丈夫 | シーズン前の1~2ヶ月間のみ |
※当院ではレーザー治療は取り扱っておりません。レーザー治療を受けられたい方は、お近くの耳鼻科へお問い合わせください。