眼精疲労
眼精疲労と疲れ目は違う
疲れ目とは目が疲れて起こる症状ですが、休憩や睡眠によって回復するものが「疲れ目」です。
眼精疲労とは睡眠をとっても目の症状や頭痛などが残るものを「眼精疲労」といいます。
疲れ目よりも眼精疲労の方が重たい症状に分類されます。
疲れ目の仕組み
眼精疲労とは眼がどういう状態になっているかを説明します。
水晶体というレンズの役割をしているものと、ピントを調節している毛様体筋があります。
近くのものを見る時は筋肉が緊張し、遠くを見る時は筋肉はリラックスしている状態です。近くのものを一生懸命みていると常に目の緊張状態が続くので疲れてきてしまいます。
また目の乾燥などにも関係があります。通常眼は涙に覆われ十分に濡れていなければ滑らかに動くことが出来ません。目が疲れると瞬きが減り乾いてきます。そうなると滑らかさを失い、毛様体筋を使って無理やりピントを合わせようとします。それが続くと疲れてきます。
眼精疲労の仕組み
眼精疲労は「眼の使用」「耐える力」「眼の能力」この3つのバランスが崩れている状態です。
目を使いすぎてしまうと「眼の使用」が大きくなります。緑内障や糖尿病などの眼に関係する病気になると「耐える力」が小さくなります。合わないコンタクトレンズやメガネの使用は「眼の能力」を低下させます。
この3つのバランスが崩れて、ある一定を超えると眼精疲労が起きるとされています。
眼精疲労の症状
眼精疲労では目だけの症状ではなく、体や精神的な所まで影響を及ぼしてきます。
目の症状 | 目の疲れ、充血、ドライアイ、まぶたが重い、かすみ、痛み、視力の低下、焦点が合いづらい |
体の症状 | 肩こり、頭痛、食欲不振、胃痛、全身倦怠感 |
精神的な症状 | イライラ、不安感、不眠、全身倦怠感 |
眼精疲労の原因
眼の病気由来の眼精疲労 |
近視、乱視、老眼によるもの ドライアイ 緑内障 白内障 斜視 斜位 眼瞼下垂 |
体の病気が影響する眼精疲労 |
風邪やインフルエンザ 花粉症 更年期障害 自律神経失調症 虫歯 歯周病 |
眼の使い過ぎや環境による眼精疲労 |
ディスプレイ画面での目の酷使 シックハウス症候群 姿勢不良 画面の高さが合っていない |
精神的なストレスによる眼精疲労 |
ストレスによる睡眠不足 イライラ |
VDT症候群とは
VDTとはVisual Displiy Terminal(ビジュアル・ディスプレイ・ターミナル)の略でパソコンやスマートフォンなどのディスプレイを使用した作業を長時間続けたことによる、目や体、心に影響をきたす病気です。別名はテクノストレス眼症と言います。
主な原因は長時間のディスプレイ画面の閲覧や、その際の姿勢不良が原因となってきます。
VDT症候群は眼精疲労に直結します。目の症状としては、疲れ・痛み・乾燥・かすみや物がぼやけて見える・視力が落ちることもあります。また、目以外では肩こり・腕のだるさという身体の症状と、イライラ・不安感や抑うつ状態になるといった精神の症状があります。
目の負担を減らすために
1、1時間ごとに10分程度の休憩を取る様にしましょう。
2、ディスプレイ画面の明るさを調節しましょう。明るすぎても暗すぎても疲れ目の原因になります。
3、椅子の高さを調節することもオススメです。画面を見る角度を見下ろす角度だと目にも首にも負担が軽減してきます。
4、ディスプレイからは40~70cm離すようにしましょう。
目に優しいデスクライト
疲れ目や眼精疲労には照明との関係がとても深いです。デスクライトに求められるのは「まぶしくない、明るい、ちらつきが少ない」という性質です。
一般的な蛍光灯、インバータ式のライト、LED照明を例にします。
家庭のコンセントから流れている電流は、交流電気と呼ばれるものです。
交流電気は絶えず2つの電気が重なり合う事によって、電流に波が発生します。この波を一般的な蛍光灯では補正をせずに光として出ているので、ちらつきをとても感じるのです。
一方インバータ式のライトは交流電気によって生まれる電流の波を人の目では感知できない位に速いスピードにしたものです。そのため、照明のちらつきが感じられなくなり、目に負担の少ない照明になります。また十分な明るさもあるため目に優しいと言えます。
LED照明の最大のメリットは省エネです。また、交流電気ではなく直流電気で発光する為、照明のちらつきが少なく目に優しいです。
しかし、LED照明には「まぶしいが、その割りに明るくない」という性質があります。LED照明は光源がコンパクトで、広がりのない鋭い光になってしまいます。
まぶしさ | 明るさ | ちらつき | |
一般的な蛍光灯 | △ | ○ | × |
インバータ式 | △ | ○ | ○ |
LED照明 | △ | △ | ○ |
ブルーライトとは
ブルーライトとは可視光線の中で最も強いエネルギーを持つ光と言われています。パソコンやスマートフォンなどのLEDディスプレイやLED照明に多く含まれています。
角膜や水晶体で吸収されずに網膜まで直接到達します。網膜に到達する光の中で、紫外線にもっとも近い強いエネルギーを持つ光がブルーライトになります。
ブルーライトは人体に影響を及ぼすことがわかってきました。
目への影響はもちろんだが、睡眠障害や精神状態などの全身への影響があります。
目への影響
ブルーライト強いエネルギーの為、目の奥で光の散乱も起きやすくなります。まぶしさを感じたり、ちらつきを感じるのはそのためです。
ブルーライトを見続けることによって、目の疲れ、痛み、ドライアイ、視力低下などに繋がってきます。
全身への影響
人間には生命を維持するための体内時計を持っています。体内時計は太陽の動き(日の出、日の入り)や、網膜に到達する光の量などでコントロールされています。
体内時計にはメラトニンとの関係ががあります。メラトニンは脳の松果体から分泌される眠りホルモンと呼ばれています。通常は太陽が沈み、夜になるにつれてメラトニンの分泌が多くなり、体温、脈拍、血圧が下がり睡眠に入ります。朝になり、太陽の光を浴びる事により、体内時計がリセットされ、そこから活動が開始されます。
ブルーライトは直接網膜を刺激し、メラトニンの分泌量を低下させます。
本来メラトニンの分泌量が増え、睡眠への準備をするのですが、夜間にブルーライトを見るとメラトニンの分泌量が減少し、体内時計が崩れ、睡眠不足になる可能性があります。
体内時計が狂い、睡眠不足が続くとイライラやうつ症状が現れることもあります。