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症状を聞き出して満足していたあの頃。そして、今だから言える問診の本当の役割。

" スタッフ研修, 坂口友亮, 技術論 "

2016年11月24日

坂口です。

 

坂口友亮

 

今回は「問診」の話です。

 

問診=治療に必要な情報を聞き出す行為

 

だと思って鍼灸師をやっていました。
その常識が覆ったのは、カポスに入ってすぐです。

 

ある時、先輩の問診を見学しました。上達のヒントを得ようと、「ふむふむ、頭痛の患者さんにはこういう質問したらいいんだな」と先輩の質問をメモする私。どんなことを聞いて頭痛のタイプを絞り込んでいるのか、参考にしようと思っていました。

 

私のメモ帳が、箇条書きにされた質問項目で埋まりました。

 

問診が終った後にそのメモを見てもらうと、先輩が一言。

 

「うーん…そうじゃないんだよね~」

 

さらに

 

「そもそも、問診は治療に必要な情報を聞き出してるだけじゃないからね~

 

と言うのです。

 

えぇ…じゃあ一体、問診では何をしているのか???

 

考えているうちに、ふとあの出来事を思い出しました。

 

治療の効果を感じてくれない患者さんの話

カポスに入る前は鍼灸接骨院に勤めていました。そこにYさんという患者さんがいました。Yさんは、症状が明らかに改善しているのに「変わってない」と言うのです。

 

当時の私は、Yさんの症状を改善しようと、

 

・ある時は残った症状をトコトン追いかけ

 

・またある時は、治療のビフォーアフターを感じてもらえるように写真を撮ってみたり

 

・またまたある時は、「変化してますよ!」とハッキリ伝えたり

 

と、あれこれ工夫して、治療の効果を感じていただこうとしました。成果が出ているように見えるのに、最後まで効果を感じていただくことはできませんでした。できることは全てやりました。

 

その頃の職場はベッド同士がカーテンで仕切られている環境でした。当然、会話はつつ抜けです。その状態で、何度も「変わってない」と言われるのは精神的にこたえました。

 

コップの水、”もう”半分? ”まだ”半分?

水

Yさんの一件があってから「自分の技術が未熟なんだ」と思うと同時に、「でも、まったく変化がなかったわけではなかった。最初は片足を引きずりながら歩いていたのが、普通に歩けていたのだから…」とも思っていました。

 

そんな時、とある鍼灸師のブログを目にしました。

 

その内容は「改善したところに注目する患者さんの方が、改善していないところに注目する患者さんよりも治りが早い」というものでした。

 

「あなたはコップに水が半分入っているのを見て、”もう”半分”だと感じますか?それとも”まだ”半分”だと感じますか?」という例え話を読んで、

 

「そうだよなぁ、あの患者さんは変わってないところに注目していたもんな」

 

と結論づけ、Yさんについて考えるのをやめてしまいました。

 

しかし、大きな間違いでした。それに気が付いたのはその数年後。つまり、カポスで働くようになってからです。

 

問診はマッチングの場

あの頃の私は、Yさんに日常生活のどういう場面で困っているのか」と聞いていませんでした。患者さんの症状を、自分の技術に当てはめることしか考えていなかったのです。生活の背景を想像することもせず、治療の効果を押しつけていた…。

 

完全に独りよがりでした。

 

気づきがあってから「問診はマッチングの場」だと考えるようになりました。

 

現在では「来院までの経緯やカポスを選んだ理由」「現在、お困りの症状や不安に思っていること」を丁寧に聞くようにしています。

 

坂口_問診

 

患者さんの悩みと鍼灸師としてできることを共有することが、問診の役割だと今は考えています。お互いの認識がズレている時、施術者も患者さんも「なんか違うな」と違和感を感じます。

 

その違和感の正体がわからず、こちらが一方的に「魅せ方」や「説得力」で強引に軌道修正しようとすれば溝ができてしまいます。

 

わかってもらえないと苦しい

哲学者の中島義道はこう言っています。

 

私は「わかってもらえない」苦しみは、人間の苦しみのうちで第一級のものだと信じております。

 

ー中島義道「私の嫌いな10の言葉」より

 

わかってもらえないのは苦しい。

 

患者さんは「私が困ってるのはそこじゃない!」「なんでわかってくれないの!」と苦しい。

 

施術者も「効果は出てるじゃないか!」「どうしてわからないんだ!」と苦しい。

 

こうした不幸を防ぐためにも、問診では治療に必要な情報を聞き出す(悪く言えば尋問する)のではなく、方向性の共有(マッチング)をした方が良いのです。

 

患者さんの求めるものと、こちらの提供できるものが嚙み合わなければ、「他の鍼灸院や施設を探して頂く」という選択肢もあるのです。

 

 

歴史に「もしも」はありませんが、もしもYさんに「どんな時に困ってますか?」と聞いていたら…結果は違ったかもしれません。

この記事を書いた人

はりきゅうルーム カポス(鍼灸師)

本物の鍼を追究するために大阪からやってきました。

患者さんに「鍼って本当に効くんですね」と言ってもらえた時に、鍼灸師としてのやりがいを感じます。

 

好きな言葉は「勝ちに不思議の勝ちあり 負けに不思議の負けなし」

 

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活法研究会 講師候補
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